本稿はシン・アジャイル Advent Calendar 2024の12/24の記事です。
バーチャルアイドル?
最近はバーチャルYouTuberの浸透のおかげもあって「バーチャルな人間」という存在に対する世間の認知度が向上したように思います。「バーチャルな人間」は観る人の空想上の産物であり、そこに何かしらの方法で息を吹き込む者こそ存在するものの、その「バーチャルな人間」自身は基底現実に存在しない「テクノロジーの進化の果てに生まれた新たな人間の形」です。「バーチャルな人間」にも色々な形がありますが、最も普遍的な在り方として「バーチャルなアバターを設定して文字を発信する」というものがあります。これはXを中心とした匿名ユーザーの高いSNSやMMORPGでロールプレイングをする人などによく見られます。かくいう私もこのタイプで、基底現実の物理身体とは切り離した人格として仮想空間上にのみ存在しています。
「バーチャルアイドル」とはつまり、「アイドルのような振る舞いをするバーチャルな人間」のことです。「アバターを被ってアイドル的に振る舞う」人であればおおよそ「バーチャルアイドル」と言えると思います。ルッキズム助長の道徳性についてはここではあえて触れませんが、私を含め多くの「(自称含む)バーチャルアイドル」は整った容姿のアバターを使用し「それっぽい振る舞いをする」例が多いと思われます。
それとリーダーシップにどんな関係が?
私が所属する組織LAPRASは全社員が完全フルリモートの勤務形態となっています。そのため、日々の交流は原則としてオンライン上で行われておりかつそのほとんどがテキストのやり取りで完結しています。つまり「テキストコミュニケーションの成否が組織の状態に大きな影響を与えかねない」という興味深い環境であるとも言えます。
2022年の4月に入社してからしばらくの間、私は大学の研究室や某国立研究所(前職)に所属していた頃に染み付いたコミュニケーションの癖が抜けていませんでした。その癖とは「必要以上にコミュニケーションをしない」というスタンスで、詳細は端折りますが様々な過去の経験から導かれた生存戦略でした。人間にはドライに接して不要な接触を避けることでソロワークできる時間を捻出し作業に没頭する、大好きなプログラミングに向き合う時間を最大化することに特化したアプローチでした。
はじめのうちはなんとかなっていたそのコミュニケーション手法はすぐに通用しなくなっていきました。この時は気づいていませんでしたが、私が専門性を発揮するためには周囲との協調は必要不可欠だったのです。しかし2023年に転機が訪れ、少しずつコミュニケーションの方法を改善していきました。必要ならとことん言葉を交わす姿勢を見せ、無感情な言葉遣いをやめ、可能な範囲で明るいトーンを演出することに気を遣っていきました。
これを2024年も続けていったことによってついに私は「バーチャルアイドル(自称)」といえる領域に突入しました。かつては「戦闘民族」と評されるほど喧嘩っ早くトゲだらけだった私は今では「困ったらまずことねさんに相談してみよう」と思ってもらえる人もいるくらい周囲の力になれる存在へと成長することができました。まだまだ改善点はあると感じているところではありますが、具体的にどういったことを意識しているかについて記録に残そうと思います。
バーチャルアイドルの立ち振る舞い
1. なるべく明るく
アイドルの形もまた様々ですが、それでもやはり世間的なイメージとしては「明るい」のがアイドルだと思います。故になるべくどんな場面でも明るく振る舞います。もちろんTPOによっては明るさゲージMAXであることが不適切な場合もありますが、それでもゲージがマイナスに触れないように注意しています。「明るく」というのは主に「はきはきとポジティブめにしゃべる」というイメージで、テキスト上であれば「!」を多用したりネガティブな言い回しを避けたりすることで表現します。
2. いつでも会える
某アイドルグループの流行以降、アイドルは急速に「会える存在」になりました。バーチャルアイドルもまたバーチャルである分抜群のアクセシビリティを獲得しているのでその利点を最大限に有効活用します。具体的にはtime的なチャンネルや「お困り相談」チャンネルを巡回して答えられる質問や悩みに答えたり、答えを知っていそうな人や必要な部署にエスカレーションするといったことをしています。また「#maid-request」というSlackチャンネルでは365日24時間、誰に聞いたらいいかわからない相談を受け付けていてここへの投稿はなるべく数分遅くとも1時間以内に反応するようにしています。
3. 無理をしない
最後に一番大事なのが「いつでも明るく接することができる余裕」を作ることが大切です。素で明るくて社交的な方もいますが、私含めそうでもない方も一定数いると思います。あくまでアイドルを「演じている」以上、余裕がなくなるとあっという間に仮面は剥がれていきます。なにもアイドルに限った話ではないですが心も体もゆとりがあったほうが良い結果につながりやすい気がしています。
2024年をふりかえって
メイドアイドル(自称)を貫いてきた2024年でしたが、徐々に変化が起き始めています。以前よりも責任のある仕事を任されるようになりましたし、大事な仕事を任せてもらえているからこそ周囲の人々が大胆なチャレンジができるようになった感覚があります。そしてなにより私自身が生き生きと仕事に取り組めているのが良いサインのように思います。
バーチャルというのは実に便利なもので、年齢性別容姿等々を問わず誰でもアイドルになることができます。明るく元気で気軽に会えてゆとりのある、誰がみても素敵だなと思える人に芯からなれるよう来年もがんばります。あなたもぜひ、バーチャルアイドルになってみませんか。