APEXというFPSゲームについて書きます。
APEXでは、キャラクターが戦況をセリフとして喋るという演出がされます。
回復をしている時は、「回復中!」
敵に攻撃されたときは「撃たれている!」
と言った具合です。
キャラクター同士が協力して戦っているという設定を演出するものであると同時に、戦略上重要な情報をプレイヤー間で共有するための仕組みでもあります。
このような戦況報告用のセリフの中に、「敵のシールドを割った!」というセリフがあります。
このセリフは、敵のシールドの値が0になったことを報告するものです。敵の体力が低くなり、もう少しで倒せそうだという含意があります。戦略上非常に重要な情報です。
このセリフの面白いところは、「シールドを割る」という言い回しが、FPSプレイヤー独特の表現である(たぶん)ところです。
実際に、リリース当初はこのセリフは存在していませんでした。
このセリフが追加されたのは、プレイヤーのAPEXに対する理解が深まり、連携のための用語が確立してからです。
このAPEX用語の中に、「アーマーを割る」という表現があったのだと思います。
つまり、プレイヤーが勝手に使っていた用語を公式が逆輸入して、セリフとしてゲームに取り入れたのです。
「アーマー」という言葉は、設定に合わせて「シールド」と変えましたが、それを「割る」という表現に関しては、世界観にあった置き換えが存在しなかったのかなと想像しています。
結果として、「シールドを割った」という用語が、あたかもAPEXの世界に初めから存在していたかのように扱われているのです。
シールドを割ったという情報がセリフで共有されるとゲームとしてのクオリティが高まる。一方で、ゲーム用語を使わないと簡潔な表現できない。こういうジレンマの妥協先が、この「敵のシールドを割った!」というセリフなのです。