私はこの場所みたいにエッセイ的な文章を書ける場所だと、生傷を見せるような心持ちで文章を書いてしまう癖がある。
「みて、私こんな経験して、ここにこんな風に傷が残ってるんです。今は痛くないけど、この時はこうだったの」みたいな。いや、これはイマジナリー傷跡なのでまだマイルドな方で、書いている間にハイになると「ほら! ここに傷があって、ほらほら、血が出てる!」みたいな気持ちになってしまうことが、ある。
これはたぶん、卒業文集とかでかっこいいことを言いたかった頃からの癖なのだと思う。読んでもらうにはセンセーショナルなのがやっぱり強いよな、と思っていて、そういうちょっと振り返って二度見してしまうような、そういう言い回しをついつい探しているのだろう。悪癖である。
『違国日記』というマンガが好きで、そこに出てくるちょっと偏屈な小説家の槙生ちゃんが私は好きなのだけど、彼女が姪に文章の書き方を聞かれた時(6巻)に言った「殺す気で、研いで、書く」というような言葉が印象に残っている。彼女は小説をその姿勢で書いていたけど、私はエッセイの時にそういう姿勢になりやすいなと、ぼんやり共感に近いものを抱いた覚えがある。
とはいえ、見に来てくれている人に生傷を見せて喜んでいる姿ってどうなんだと思ってはいる。ちょっとエッセイでも読むか~の感覚で来てくれた人に重い話をぶつけていいのだろうか。あまりよくはない気がする。
なんとか明るい感じでやっていきたいな〜と思うし、姿勢を正してみたり、時折謎のポーズを取って肩の力を抜いてみたりを、精神的なところで試していきたい。力いっぱいの時と、そうでもない時の幅ができてほしいな〜。