ガール・イン・ザ・ミラー 感想

なすび
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個人的に原題のLOOK AWAYよりもガール・イン・ザ・ミラーの方が好き

この作品は単なるホラーで終わらない映画。

カナダ映画 ホラー作品 R15。カナダはアメリカに近すぎて監督がカナダ人であっても、アメリカに行ってしまう事が多くジャンルとして成立していないらしい。ライアン・ゴズリングもカナダ人だけど、もちろんハリウッドで仕事をしているし。

普通におっぱいが出るので家族で見る場合には注意。

では、内容について

主人公:マリア MARIA

鏡の中:アイラム AIRAM

のように鏡の中の彼女は主人公の名前の倒語になっている。

全体的に北極圏を思わせる薄い色彩と清潔さががあり、返って怖さを引き立てている。

父親は誕生日プレゼントに車じゃなくて、整形なのすっごくやだ。父親の仕事が整形外科医というのも関係しているがチョットやばい。母親はヒステリックで心配性な感じといい、悪いことが起きる予感しかしない。主人公の女優のこの幸薄そうな美しさがこの作品にマッチしている。かわいい。

鏡の中の彼女が別の動きするシーンはどうやって撮ったんだ??ラストナイト・イン・ソーホーでも見たけどやっぱり意味わかんなくてすごい。

ラストナイト・イン・ソーホーでも似たような構図のカットが各所で見て取れた。鏡を扱うホラーというだけでけではないはず。ベットで仰向けになるシーンとか。言葉にするのは難しいが誰かに共感してほしい。(この作品のほうが先に公開されてる

親は自分が喜ぶものではなく、自分を飾り立てることしか考えていない。

親友は彼氏を取られると考え、いたずらしてくる。

クラスメイトはいじめてくる。

そんな状況が続き、鏡の中の自分にしか心を許せない。

鏡の中の自分に手を重ねてキスをすると入れ替わる。使い古されてはいるがいい表現。なのに作中で一回しかしないのもったいない。

アイラムに変わって復讐劇が始まる。ニヤニヤしてて怖い。目つきが怖い。エロティックさを孕んでいるのも怖い。

ここで注意しなければいけない。二重人格かつ復讐劇というのはFight Clubと共通しているが、タイラー・ダーデンが"理想の自分"であるのに対して、アイラムは"もう一人の自分"であるという点が異なっている。両者とも元の人格が取れない行動をしていい方向に進もうとしている点は同じ。

アイラムはマリアの言えなかった本音を言っているというのがすごく良い。王道のストーリーでは主人公とライバルは同じ目的を持ち、異なる行動を取る。その関係性をこの作品は鏡の中の自分という形式で表現している。関係性の構図がすごくおもしろい。俺好み。

親友をアイラムが殺したあとにマリアにアイラムが「後悔しているか」と聞くとマリアは否定しない。その同調する様子を、動きのシンクロという描写で分からせてくるの好き。

最終盤の父親を殺すのは殺された片方の娘がアイラムということで、理解はできるが少しありきたりすぎると思った。ここは少し残念。

ラストシーンでマリアが胎児のように丸まったポーズで母親に抱かれて寝るのを観てオチが予想できてしまった。映画を見続けて得た成果というべきか、邪念が入って楽しめなくなったと悲観すべきか。

今まで観てきた映画の中でも評価高い。1h40mとは思えない満足度で本当に面白かった。

@nasubl
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