有職故実便覧を読んで

ネギ
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まず以下の写真を見てほしい

「有職故実便覧/著・八條忠基」P171、灯台の項目から引用したもの。

「有職故実便覧/著・八條忠基」P171、灯台の項目から引用したもの。

これを見て特に問題がない人は注意深い人なのでここから先は読まずともいいです。

この写真、何が気になるかと言って、キャプションと実物が「逆に」置いてあることなの。これ、一見してとてもわかりにくいです。この本には上記の例が頻出していてまずもって大変にわかりにくい。キャプションに「上」と書いてあって左に写真があるなんてこともあった、解説文に「左前」とあるのに写真は右前になってるのはどちらが誤っているのかすらわからない。

用語に関しても普段の生活で見慣れない単語が頻出するのは当然だから問題ない。問題なのは既出単語に参照ページが記されていないことが多々ある方。通読していれば記憶にあるから迷わないものの、辞書のように引いた場合は間違いなく見失う。

内裏の全体図が載っているのはとてもいいと思うのに、詳細解説の部分でたとえば「清涼殿」が内裏のどこに存在するのか、前のページに戻って見ないとわからない。せめて省略図をつけていただきたかった。

読み物としては大変に興味深く面白かったよ、買って後悔まではしていない。ただし便覧として使用可能かと問われたら言下に否定するレベル。

これは著者だけの問題とも思えない。出版に至るまでに著者を含め誰一人としてこの「わかりにくさ」に気づかなかったんだろうか。紙面を構成するプロは携わっていなかったんだろうか。

書籍を購入する人が減っている、なんて言うけれど原因のひとつは「真面目な出版人」の枯渇にあるのでは、などと思う。読みにくい本をわざわざ書いたいわけはないものね。

@negikamo
読んだ本とか、おいしかったものとか