朝、起きたら長男が起きていて、聞けば昨日買ってきた『ダンジョン飯』を徹夜で全巻読んだと言う。すごい!めっちゃおもろい!すごい大団円!連載中から読みたかった!とテンション高く報告してくれた。君が先に読むんかい、と心の中でつっこんだが、面白い作品を読めた喜びに満ち溢れている長男が珍しくてうれしかった。その後、ことあるごとに私に早く読んで欲しいムーブをしかけてきたのもちょっとウザくて面白かった。かわいいな(親ばか)。
一刻も早く、漫画を読みたかったが、今日は末っ子と予定していた梅見をしに万博公園へ出掛ける。お弁当を作るつもりだったが、寝坊し、末っ子も外食したいとのことで、遅い朝ご飯を多めに食べて出かける。
この時期にしてはどうかしている暖かさで調べると4月上旬くらいの気温。私はいつものダウンコートではなく、春秋の薄手のコートを着て行った。いつも着るババシャツも着なくて正解な温度だった。
万博公園は桜の時期よりは人手が少なく、駅を出てすぐの場所から、中央環状線の上を渡る橋と入口を眺めると、人は多いが隙間があった。桜が満開になると、橋の上からぎっちりみっしりと人間も満開になる。
運動不足の末っ子は入口に着いた時点で「足が痛い」と訴える。いつものことなので「急がないから休み休み行こう」とはげまして歩く。梅林はすぐそこ。
太陽の塔の右側に伸びる坂を進むと、人でにぎわっていて、風に乗って梅のいい香りが漂ってきた。
満開の木もあればまだ一つもほころんでいない木もあった。私は自然の花の香りが好きなので、否応なく多幸感で満たされ、いつまでも眺めていたくなるが、末っ子はすぐに飽きたようだった。梅林を2~30分でめぐり、次はどこへ行こうかと相談。なんなら、もう昼ごはんを食べにいってもいいけど、末っ子が行きたいところがあるとのことでそれを目指す。
途中に自然観察学習館という建物があり、今まで入ったことがなかったので、トイレ休憩もかねて入る。カエルがいてかわいかった。
私はカエルが好きだが、末っ子は苦手でうげーと言いながらそれでもつきあってくれた。ほかにも魚やどじょう、万博公園でとれた木の実などを展示していた。それを見ていたら末っ子が嫌いな植物の話をしてくれた。
「あれ、嫌いやねんあのー、道に突然生えている…なんやったっけ?」
「つくし?」
「そう、つくし。あれ、保育園の時に散歩で見つけて、触ったらぶよってしていて気持ち悪くて、二度と触りたくないねん」
末っ子は言った通り、保育園に通ってた頃からつくしが嫌いで、たとえば道端に生えているのを見つけると「きゃー!」と虫に飛びつかれたように叫び私の後ろに隠れていた。上の3人の子達は全然そのようなことがなく、どちらかと言うとかわいいねと眺めていたので、末っ子のこの挙動はとても意外で面白くてかわいらしく思っている。自然に親しみが薄いのは残念だけど、つくしが嫌いな理由を始めて具体的に説明してくれたので、なるほどと感心した。
末っ子の行きたかった場所に到着。命綱を取り付けてやるタイプの5階建てのアスレチックタワーだ。
できる?怖くない?と何度もたずねたが強い意志を示したのでチケットを買う。もちろん私も一緒に。たぶんできなさそうだけど、何事も挑戦が大事だ。
説明を受けて、とりあえず3階まで登ってみる。ひとつ見た目には簡単そうなものがあったのでチャレンジしようとしたが、めちゃくちゃ怖い。ひたすらに怖い。ハーネスで安全が確保されているのがわかっていても超怖い。
2階に降りてチャレンジする。それでも、やっぱりこわい。末っ子も怖がり、初めの一歩が出ない。もうやめる?とたずねると、お金がもったいないから…と、意外にも根性を見せてくれる。じゃあしょうがない、と、できそうなものを選び、私がまずやってみる。すると末っ子も、なんとか真似してやってくれた。それにしても本当に怖かった。「おしっこちびりそう」とはこのことだ。もらさなかったのは奇跡だ。
結局、121種類あるアクティビティのうちの2~3種類しかできなかったが、それでもたいしたものだった。末っ子をいっぱい褒めた。
結局、制限時間いっぱいまで楽しんだ。ハーネスをとった時の開放感たるや。身も心も本当に疲れていた。
遅い昼食を食べに出口へ向かう。途中、川が流れていて、飛び石を伝って渡りたいと末っ子が言い、でも石があるところは通り過ぎてしまっていたので、川下の草が生えていて干上がっていそうなところならいいよと促した。渡ろうとしたら、実は干上がっておらず水が絶賛流れている沢で、私も気がつかず末っ子もよく見ないで足を踏み入れてしまい、すぐに引っ張って引き戻したが、末っ子は両足が水浸しになってしまった。
近くにベンチがありとりあえず腰かけ、靴を脱がす。服は濡れなかったが、靴と靴下がびっしょり。靴下を脱がせて絞ると、ぼとぼとと水がしたたり落ちた。「うわあ、最悪や」「時間を戻したい」「やっぱり石のほうがよかったやん」と呟く末っ子がとても不憫で「気がつかずにごめんな」と謝った。持っていた手拭いで足を拭き、冷えた素足を手で包み温める。疲れていて判断が鈍ってしまったなあしまったなあと反省した。
公園を出たところにあるららぽーとで、新しい靴と靴下を買おうかと提案するが、手持ちの靴を増やしたくないという(たぶんうちの靴箱がせまいので)。とにかく、お腹が空いているのでなにか食べようと、濡れた靴下をもう一度はかせた。
「濡れてて気持ち悪い」と歩き出したが、しばらくすると自分の体温で温まったせいか、「もう平気やわ、たぶん大丈夫」という。靴下だけでも買ったら?と念を押したが断られ、その後は事なきを得た。なんというか、私が小さい頃だったら、川にはまったらその時点で泣いていただろうし、怒り散らしていただろうし、靴も靴下も買わせただろうに、末っ子のストイックさに驚いてしまう。経済状況的に仕方なく我慢させてるのか?と心配になるが、今日はそうでもない様子。10歳になり、だんだん末っ子の考えてることがわからなくなっていることを実感した。いろいろ思う所があるんだろう。否定せずにうまくつきあいたい。
その後、首尾よくレストランで唐揚げ定食を食べ、末っ子はデザートにフレンチトーストも食べ、買う予定だったものも買い、帰途についた。今日はかなりの大冒険だった。