いやダウンが暑い。氷点下をあるくためのものだよこれ。
14時着の電車に乗って成田に向かっている。成田は千葉にある。さっき再認識した。
手荷物は10kgと7kgに収まりつつゆとりがあるように工面した、古びたスーツケースとデカリュック。普段遣いのメッセンジャーバッグ。スーツケースを足元に隠すようにして、扉の付近に寄りかかり立ちしている。
リュックと肩掛けのメッセンジャーバッグが上半身に巻き付いてずっしりと重い。本当なら空いている座席に座ってこれらを膝に乗せたいところだけれど、乗り換えが近いためこれらの締め付けに耐えている。原稿があるのに海外へ行こうと外出した己を重力が押さえつけているようだ。やかましすぎ。
座って数分でも色塗りやベタを進めるべきなのだろう。〆切は来週の金曜日だぞ。10分すら惜しい。でも荷物を下ろせば抱え直すのに数手発生するのでそれがいやだ。だから脳内でカラー表紙の色を決めながらこの文章を書いている。
ふと長座席に目をやると、棚網にコンテナみたいな大きさのリュックを乗せた西洋人のおっちゃんがリラックスして座っている。脚の間には背丈ほどもある黒いケースが直立している。中身は楽器か釣竿か。いずれにしても、日本の旅を熟れている。うらやましい。俺は内心バタバタしながら青息吐息で青砥の電光表示をながめているというのに。
京成高砂で乗り換えのために降りた。風が涼しい。
冷たい飲み物を買おう。こういう時に限ってアクセス可能な自販機にちょうどいい甘い炭酸がないのはよく知ってるけれど。