阿智村に向かうバスの中でこれを書いている。阿智村とは、長野県下伊那郡にある村で、それはそれはとても星の綺麗な村だと言う。
幼なじみは少し変わっていて、一緒にいてもどこかでひとりきりのタイミングを作る。例えば今。伊賀良行きの車内はがらがらだが、私と幼なじみは隣ではなく前後で座席に座っている。そういうふうに予約したいと言い出したのは彼女だった。席に着いた瞬間こそ会話はあれど、今はそれぞれ眠ったり読書をしたり、各々が自由に過ごしている。そのおかげで、旅の途中にも関わらずものを書くことができるのはちょっとラッキーだ。それよりもラッキーなのは、隣の座席に荷物を置いてしまえることだった。彼女の目的はこれだったのかと思うほどに快適で、隣同士でないのも案外悪くないなと思った。
SAに着いた。口の中に1センチほどの黒いできものがあり、それが気になって仕方がない。調べてみるとただの血豆らしい。昨日歯間ブラシをしている時に気がついた。その時は痛くなかったのだが、SAで買った札幌すみれラーメン味のポテトフライを食べている時に奥歯が当たって痛みを感じた。左頬の裏側にでかくて黒い異物があるのはいくらなんでもイケてなさすぎるので、早く治ってほしい。
3週間前、好きなアイドルのバースデーイベントへ行った。ライブレポというようなものはとても書けないが、せっかくなのでバス移動残り2時間ちょっと、感想をここに記しておく。
まず私が好きなアイドルとは、ハロープロジェクトOCHA NORMAのメンバーがひとり、石栗奏美ちゃんである。メンカラはオレンジ、OCHA NORMAの初期メンのひとりである。スシローの企画でひとり50皿を食べることができるほどの大食いで、にかっとした笑顔がかわいい子だ。正直、OCHA NORMAを知った当初はあんまり彼女に心を奪われていなかった。ハロプロオタクの幼なじみも彼女のことはそれほど話題に出さず、それぞれ別の子を推しとしていた。その気持ちのまま臨んだTakara Osakaでのライブツアー。まんまとやられた。一目惚れするってこういう気持ちなのかもしれない。ステージからは遠く、男性も多いので高い頭の隙間から覗く姿を追うしかなかったが、それでも分かった。まばゆく輝く笑顔に、一時の揺らぎもない表情、曇りなく芯のある歌声。私は心を焼かれた。MVを観ているだけでは分からなかった。素人目にも彼女の生のパフォーマンスはプロそのものだった。もちろんみんなプロではあってそれぞれに素敵なところはあるが、彼女がただただ私にとって太陽だった。あと、他のメンバーがMCをしている時に、自分に話しかけられているかのようにうんうんと頷いたり笑ってしまうところが好きだ。
そんな石栗奏美ちゃんのバースデーイベントにどうしても行きたいと思い、私はハロープロジェクトのファンクラブに加入した。他のグループのことは名前しか知らなかったが、ハロープロジェクトはグループのファンクラブというものは存在せず、ハロープロジェクト全体のファンクラブに加入するしかなかったので、やむを得ずそうした(今では他のグループも追い始めているので大変助かっている)。無事申し込みを終え、当選し、東京へ。アイドルを好きになったのも人生初だし、バースデーイベントなんて想像もつかなかったが、結論を言うとめちゃくちゃ楽しかった。1部に参加したのだが、楽しすぎて2部も追加で当日券を購入しそうになった。財布がグェェと喉を鳴らしたのでやめてあげた。
他のメンバーのバースデーイベントがどうなのか分からないが、石栗奏美ちゃんはとにかくたくさん歌を歌ってくれた。今回の奏美ちゃんのバースデーイベントは1部と2部でセトリが全て違うらしいので、合計20曲ほど練習してきたということだ。その努力にまた心が洗われた。ライブの合間には抽選会があってサイングッズが当たったり、質問コーナーがあったりしたが、基本的にはソロライブといった感じだった。セトリは全てハロープロジェクトの曲で、私は2曲しか知らなかった。サイングッズも当たらなかった。それでも彼女の歌が好きなので、終始聴きごたえがあったし、ステージもよく見えたので幸せだった。
ライブが始まる時間になると、こぶしファクトリー『桜ナイトフィーバー』と歌声がどこからともなく聞こえてきて、みんなが彼女の姿を探す中、私の席からほんの2mほど近くの扉で「こっちこっち〜」とみんなに手を振っていた。ありえないくらい近いし目が合った気もする。MCで「ここにいる全員と目が合ったはずなので、目が合ってないって人はあとでブログに文句書いてください!」と言っていたくらい、ほんとうにみんなの目をひとつひとつ見ていくように歌っていた。その後は通路を通ってメインステージへと上がっていったのだが、私のすぐ右側が通路だったので、真横を石栗奏美ちゃんが通った、、、その事実だけでもう何かが込み上げてくる。嬉しい。奏美ちゃんが楽しそうで嬉しい。歌の途中で涙ぐんでしまった奏美ちゃんの、涙声の桜ナイトフィーバーにはつられて私ももらい泣きしてしまった。イベント中も何度か泣いてしまいそうになり、アイドルを見ているとなぜ泣いてしまうそうになるのか日を改めてちゃんと考えてみたいと思った。
そろそろ次のSAに着き、目的地も近くなってきた。宿では幼なじみとハロプロの話で盛り上がると思うので、明日の自分がどうなるか分からないが、また帰りのバスで気力があれば何か書こうと思う。
ではでは。