吃音者が歌えない曲があるということをご存知でしょうか。
主語が大きくて早速すみません。症状の重さや苦手な単語にもよると思いますし、自分以外の吃音者が身近にいないので分かりませんが、私のようなごく軽度の吃音者にとってもそういう曲がいくつか存在します。どのような曲か想像してみてください。早口な曲や難しい曲を思い浮かべる人も多いかもしれないですね。それもひとつ、症状によっては正解かもしれません。ですが、吃り(どもり)という現象は言葉の早さが理由ではない人も多く、私もその一人です。「噛む」と「吃る」は似ているようで実は異なっており、前者は滑舌つまり口内のミスであることが多いですが、後者は脳の課題です。吃音症の人を見るとついつい「落ち着いて話したらいいよ」と言ってしまいそうになるかもしれませんが、落ち着こうが元気でいようが、吃る単語はほぼ100%の確率で吃ります。
曲の話に戻りますが、私は『きゅうくらりん/いよわ feat.可不』と『恋人失格/コレサワ』の一部が吃りのせいで歌いづらいです。どちらも好きな曲ですが、きゅうくらりんは緊張しながらなんとか誤魔化して歌えるレベルで、恋人失格に関しては全く歌えません。どの箇所が詰まるのかというと、きゅうくらりんは「胸で泣けたなら」が難しく、恋人失格では「させてた」という単語が歌えないのです。きゅうくらりんの該当箇所は、話すように均等なリズムで歌うことと、私の苦手な「た行」+「な行」が多いので難しく、恋人失格はそもそも滑らかに発音できない単語です。ちなみに、同じ言葉でも朗読と歌うのではまた違っていて、私は朗読だと「あなた」が言えませんが歌ではほとんど問題ありません。話すように歌う曲だと朗読に近いので吃りますが、ほとんどは「あなーたー」みたいに伸ばすものが多いように感じます。伝わるか分かりませんが、「あなーたー」というふうに伸ばすと「あなあたあ」になるので、「あなた」とは別の単語という感覚です。うーん。
「あなた」が言えないのも日常においてまぁまぁ致命傷なのですが、関西住みなので「あんた」と言えば助かります。もっと日常で心臓を抉られるのは「させてた」が言えないことです。つまり労働者の多くに必須である「させていただきます」が言えません。社会人の頃はそれはそれはもう困りました。私がしていた工夫は「させてぇー・いただきます」というように吃る箇所を伸ばして言うことです。そうすると発音できるようになるので、ちょっとクセがある人だな...ぐらいで乗り越えられます。とか言ってますがこういうのが助言であってほしくないんですけどね。仕事もプライベートも全部もうVIVANTのドラムみたいな感じでよくないですか。スマホに発音してもらいましょうよ。私のボイスはなんかカッチョイイ感じのおじさんでお願いします。
文章だと発音できない言葉も使えて羽が伸びたような気分です。吃音症じゃなかったら私ももっといろんな魔法が使えるのかなぁと思ったりもします。でも、直接のお話が私は嫌いではありません。むしろ好きな方で、好きすぎて迷惑をかけるのでがんばって黙ったりするくらいです。吃音に関しては私にとっては身近な話題ですので、また定期的に話しちゃうと思います。でもそんなに深刻に悩んではいなくて、分かってほしいとかも特になく、せっかく吃音症だからなんか記しておきたいというだけなので、よろしくお願いします。
あ、これからここでいろんなこと書いていくつもりです。毎日とはいきませんが、週に1回くらい書けたら最高ですね。
自分へ。月イチでもいいよ。
ではでは。