創作、大好きです。世界、人物、人間関係、頭の中で繰り広げられる無限の連想ゲームが生きる糧でした。……薬を飲むまでは。
私の無限に広がっていた世界はたった一つの薬でその姿を消してしまったのでした。頭の騒がしさを抑える薬は別に飲んだことがあるのですが、それでも溢れる妄想を止めるまでにはいたりませんでした。
それは統合失調症を抑えるための薬でした。つまり私の頭の中で広がっていた世界は、統合失調症の症状だったということ。溢れる妄想も、全部、病気のせい。もう頭の中には誰もいなくて、無理やり席に座らせてもすんとも言わなくなってしまったんです。
これは絵のアイデアでもおなじことでした。絞っても何も出ず、常に空。あんなに溢れていたお絵描き欲も空……
統合失調症患者が寛容した後、その人にとっては現実だった家族やペットが実は空想のもので途方に暮れるという話はよく聞きます。私も頭の中で生きていた皆が消えて、あの話ってこれか……とちょっとだけわかった気になってしまいました。
しかし最近は無理やりにでも頭の中に居座らせて、力ずくで動かしてみるんです。紙芝居でもいいからキャラクターを動かしてみたり。自分の妄想力も画力も、もうあの頃には届かなくても、自分にはこれしかないような気がして。