ホテルに着いた次の日、初めて大学まで行く。ホテルの送迎バスに乗ったのだけど、チップをあげるという習慣を知らなかったので、運転手さんにすごくイヤな顔をされたのを覚えている。どんなに小さなことでも初めの事はいつまでも覚えているものだ。5分で着く。
大学に着いたのだけどあまりに広すぎて一体どの建物か分からない。バカでかい建物が広い間隔をあけて建っている。結局1時間くらい校内をさまよいようやく目的の建物を見つける。確か5階だったと思う。
今度は部屋が分からない。ラボごとに部屋が固まっているわけではなく、あちこちに分散しているようだった。ようやくたどり着いて中にいた人に先生と会いたいんだがと告げて、廊下に座り込む。ホテルを出てからここまで2時間。
遠くの廊下の角から何か大きな声で言いながらこっちに向かってくる人がいる。先生だった。多分、あー君かー廊下に座ってんのかーようこそみたいなことを言ってたんだと思う。そのあとはあまり覚えてないのだけど、車で街中を案内してもらってここは博物館だ、昔の工場跡だみたいなことを言われて、その日はそれでおしまいだった。疲れていたというより、あまりに初めてのことばかりでキャパオーバーだったのだと思う。観光する気分にもならずホテルに戻ってすぐに寝た。