工事その1

neyu
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公開:2025/10/25

 先日やってきた知らせに、震撼した。家の工事を、1週間後から行うらしい。え?!1週間後から?しかも年度末までやるそうで、何でもっと早く言わなかったんだと、口を開けば怒りと呆れがでそうになる。しかも週6で工事するらしい。私は在宅で作業しているので、打ち合わせもあるし、大打撃間違いなしじゃん。はーーー、やってられっかーーー。無理無理の無理すぎて、その夜は酒を飲んだ。ラムを安売りのペリエで割って、適当にカクテルっぽいものにする。あー、えーと、君の名前は何だっけ。

 家族と、家事の分担の調整をする。家族の生活リズムにはほぼ影響しないが、私は工事に合わせて行動しないといけないので、直撃をうけそうだと伝える。洗濯ひとつとっても、工事の進捗に応じて外に干せない日がある、浴室乾燥をするにはまとまった時間を要する、そのためには何時までなら洗濯機を回しても近所迷惑にならないか逆算する、逆算をして在宅の作業や他の家事を組み立てねばならない。そもそも冬で全然乾かないだろうし、工事で何が舞うか、どんな臭気があるか分からない。話しているうちに、考える作業に頭を割いてるから疲弊するのだと気づいて伝えた。いやーーー、でもさ。私が、家事を四の五の言わずに出来るようになればいいだけなんだよ。そうなんだけどね、そうなんだけどさ。すでに日常に息切れしてて、全然家事回せてない私には、いまこれ以上の負荷があるのは無理なんよ。

 頭の中に、昔見たテレビ映像が流れていく。外国のゴミの山を少ないショベルカーで整理している。見上げるほど大きな山を、なにか価値のあるものはないかと、人が登っては降りる。私の煮詰まった思考がゴミの山で、私のタスク遂行力は少ないショベルカー。うちの山には、価値のあるものはないよ。先の「考える作業に頭を割いてるから疲弊するのだと気づいた」っていうのもさ、たぶん爆発するからと免罪符をつけて、私の処理能力のなさを肯定しているような気がしてきた。当たり散らかす残念な私でごめん。思考と感情がうまく切り離せない。私は、生活に1ミリの余裕もない感じがしている。

 翌日から調整をはじめる。工事のお知らせの連絡先に、音の出る日を問い合わせる。「え…!仕事に影響するんですね…!」と腰が引けたような声で話している。そうだよね。私も工事ではないけど仕事場に行かないとどうにもならない仕事してた時は、全然在宅で仕事するイメージつかなかったな。電話口でのパフォーマンスかもしれないけど「仕方ないだろ!」って押し切られなかったのは、まぁ良かったな。

 自宅外で、誰かに見られないスペースを探すのは難しい。連日のコワーク通いには、金が足り無い。図書館は、空きが読めないしパソコンが使いにくい。他の人から画面が見えにくい場所がいいし、打ち合わせがあるから、できれば防音がいい。防音防音…スタジオとか入ってみようか。気晴らしに弾いちゃおうかな?たまにカラオケで歌いながらやろうかな。振動が、画面越しの誰かにとってうるさいかもな~。うーん…車とか持ってると、こういうとき便利なんだろうな。

 赤ちゃんいる家とかどうするんだろうな。騒音もにおいも避けられんし。大人だけでなんとかなるから、まだマシなのかな。同じこと、電子レンジが故障して3週間使えなかった冬に思った。変わらず余裕はないけど、少し視野を広げる。

 しかし、春に実家仕舞いが唐突に決まって2ヶ月で実家の整理をしなきゃいけなかったし、今回も1週間で生活を整えないといけない。安全なはずの家が、どんどん崩れていく年だ。嫌になっちゃうね。今回の工事では、安全な場所を失わないと思うんだけどね。私は、少し先の未来に期待するのが怖くなっているんだ。

@neyu
寝湯がすきです。