近年の私はよく新規事業を担当してきたこともあってこの言葉が持つワクワク感に惹かれているのですが、一方でこの言葉をかけて求人を出している仕事というのは大抵胡散臭いことが多かったりします。
いざ参入してみると崩壊したシステム設計がまず目に留まったり、無駄な会議を毎日繰り返して何も進捗がなかったり、毎回のようにターゲットや課題が変わったりと、はっきり言って大学のサークル活動以下の惨状であることが殆どでした。そうではないにしても成功することが難しい新規事業という領域であるにもかかわらず、そのスタートラインにすら立てていないところが非常に多いのです。
そのような現場をいくつか側から見たり自分自身も入ったりして思ったのは、あと何回これを繰り返すことで自分は満足するのだろうかということでした。
ただ、そんな苦労の末、ある日一定の成功を収めたこともありました。そうするとこれ以上楽しいものはないという側面を経験しました。苦労した甲斐があったと思える瞬間です。
しかし、そんなサービスにも終わりが近づいてくると、今後何をしていいのかわからなくなってきました。一定の成功を収めたので一通りの経験をしてしまったからです。もちろん、大成功という経験をしてみるのが一番良いのでしょうが、同時にそれが簡単でないことも今までの経験から身をもって知っていますし、社内にはそのような柱となるサービスの存在もあるので、その後どうなるかは良くも悪くも側から見て知っています。そうすると歳を重ねれば重ねるほどリスクを取るようになってしまい、行動するためのモチベも上がらなくなってしまいます。
新規事業でPdMを担当していた人は、その事業が終わると大抵会社を辞めてしまいます。それは失敗したからとか居た堪れなくなったとかそういう理由ではなく、一種の燃え尽き症候群に陥ってしまうからです。中には会社の方針が気に入らなかったり、お金を回してくれなかったことに腹を立てる者もいます。とはいえ、成長が見えなかったりお金にならないものにお金を投資できないというのは至極当然でしょうから、結局彼ら自身もわかってて何も言えないことが殆どです。
そうなると新しい領域で再挑戦しようと思い、他の新規事業へ挑戦しようとする企業へ転職する人たちも出てきます。とはいえ、前述の通り新規事業の領域はそのスタートラインにすら立てていない現場もかなり多いです。そのような現場をまた渡り歩くのはハッキリいってリスクでしかないでしょうし、そういう現場はルールや規律などで立て直しても新規事業を作っていくための地力がないことが殆どなので、結局上手くいきません。優秀な人材は有名企業に集結していますので、まだ立ち上げたばかりのベンチャー企業へ行ったところで同じことをまた繰り返す確率が非常に高いということは目に見えている・・・というところになります。
そうなると、一体その次に何を目指せばいいのか、何を目標に仕事をしていけばいいのかわからなくなってきます。新しくまた何かを作ればいいというモチベがとうとう湧かなくなってきたというところなのかもしれません。
新規事業の先に一体何があるのか、もしくはここで終わりなのか、というのが近年の自分の悩みであり、この答えがハッキリしないことには自堕落な人生を歩んで終わりそうでそれが少々怖かったりします。
周りをみても、まるでもう何かを諦めたかのように目先の作業だけを黙々とこなす人と化しているケースも見られます。仕方ないよな、と思いつつ、若い時のような熱意を失った先がそうだとすると、あまりにも悲しいなと思えたりもします。
そういう事実だけをみると、自分がリスクを取り続けてモチベを失わないようにすることが大事なのかもしれません。ただ、理想と現実は必ずしも一致しないということで・・・この葛藤はもう少し続くような気がしてます。