インディゴとバロミノ

miraclamb
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 「西のずっと遠方の城の遺跡がダンジョン化して魔物が住み着き、村の大移動が行われるほどだったんだが、ある冒険者により調査が進み最深部に到達したと。財宝鑑定を頼まれた。次会うのはひと月、いや、闇の方まで行ったら面倒だな。そうだ魔物の情報を聞いてなかった。財宝も化かされもし人間を誘き寄せる罠だったら…」

目が輝いてるよ…だから今日ソワソワ浮き足立ってなかなかベッドに入らなかったのか。子どもを寝かしつける母親は大変だ。まあ、それはそうと、インディゴとしばらく会えないのは困るな。好きな人間との一時の楽しみを糧に生きる奴は少なくはないだろ。

 「僕が行って欲しくないって言ったら?」

 「心配無い。大抵の問題はなんとか出来る。それなりの対策もいくつかする。今回はかなり自信があるんだ。俺を信じてくれ。」

ふん。なるほど。そういうことか。そういうことじゃない、そういうことじゃないだろ。別に君を信じてないわけじゃないし、心配してるつもりなんてさらさらない。ひょこっり帰って来るだろ。どうせ。知ってるんだよ。近くの酒場にでも、そこらの玄関にでもいるさ、君は。なんで分からないんだ。こんな子犬みたいな顔をして弱々しい声を出す上背のある男はそういないぞ。僕をよく見ろ、実利主義め。いかにも寂しさで弱ってしまいそうな抱きしめたくなる存在だろ。逆に君はこんな子犬を置いていくのか。逆に、君は僕と会えなくてなんとも思わないのか、インディゴよ!

はあ。インディゴ。本当はベッドから立ち上がる君を止めたいよ。やっと寝かしつけられるかと思ったのに。そのうなじから流れる不思議な髪はここからじゃ分からないけど、日に当たれば青が透けて見える。君にはベッドは似合わないのか。

 「これは君を信じてるよっていうハグ。」

 「ああ。行ってくる。」

口角が上がってるのが分かる、肩が揺れた。ちょっと可愛いな。いや、このまま倒れ込んで寝かせたい。

いつか、君が一番綺麗に見える場所を僕にも案内してくれよ。

 「行ってらっしゃい。」

インディゴ。