ファンの話

爾枝
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「あなたの書く文章は独特だから、刺さる人にはものすごく深く刺さるのよ。だから気をつけなさい」

これは高校の剣道部の先輩にして元雑誌編集の方に言われたことです。最初、この言葉の意味がピンときませんでした。

意味を理解したのは、初めてファンレターをいただいた方と急激に仲良くなった後のこと。そのお手紙には便箋3枚にみっちりと鉛筆で書き込まれていて、最初こそ嬉しかったのですが……そこを入り口として私のテリトリーに土足で踏み込まれてしまいました。

具体的に何があったかは言えませんが、彼女は私の苦手な味付け(ジャンル)を「これを爾枝さんも好きになって!」と言わんばかりの勢いで、本気で嫌がる私の口に押し込んでこようとしてきました。

いやー、怖いですね。チャイムが鳴ったからドアを開けたところ足をグッと押し込まれて無理矢理セールスに付き合わされる。そんな気分でした。

それ以来、鉛筆手書きファンレターは鬼門アイテムです。

そして、かねてよりお付き合いのある方以外の方との距離感にはかなり気を使っています。それは私が不快な思いをすることはもちろんですが、その結果相手の方が悲しい思いをしてほしくないから……というのもあります。

しかしいくら距離感に気をつけていても、誰が相手でも深く刺さる時にはブッスリと深く刺さってしまうようでして。最初の方を含めて今のところ3人の方に不思議な付き纏われ方をされてきました。

本当に、なんで?

自分が楽しいから書いているだけなのに。

@nie
インターネットの片隅にいる寂しがりや