「硬さだけが取り柄のダイヤモンドに価値で負けてるのって腹立たない?」
「でもわたしたちよりよっぽど、硬さに自信持ってそうできらきらしてるダイヤモンドのほうが魅力的に見えるけどな」
「それはおかしい。ダイヤモンドは自信なんて持ってるかわからないし、わたしだってきらきらしてる。青春の輝きなめんな」
「じゃあ、放課後喧嘩売りに行く?宝石店のディスプレーとにらめっこするの」
その日、集合場所に来なかった彼女は、車に轢かれたと後になって知った。次の日骨折どころかたいした怪我もせずしれっと学校に来たものだから「硬さでも勝ってんじゃん」なんて冗談めかそうと思ったけど、わたしたちの価値がインフレしちゃうのも良くないので、これは言わない。