決して君の全てを知っているわけではない。どんな人と出会ってどんな気持ちを抱いてどんな時間を経て今の君ができたかなんて私に全部がわかるはずはない。君が何かが起きた時にどう思うのか、何を不安に感じるのか、ずっと抱えてきた黒い気持ちはなんなのか。教えてくれなんて到底言えやしないし、知ったところで私が君を照らしてあげられることなんて出来ないかもしれない。
救いたい、なんて言葉を私は君たちにはかけてあげられない。その言葉は私の中で君たちを低くみているように感じるから。そんな立派な人間でもない私が君たちを救おうだなんてなんて烏滸がましいのだろうか。それでも君たちが悲しんでいるのなら何か力にと、そばで一緒にしゃがみ込んでお花を探すことくらい手伝わせて欲しい。きみが背負うものが多いなら、一緒にほんの少しでも背負わせて欲しい。本当なんだ、本心からそう思ってる。
けれど君たちは本当に、本当に優しいから自分以外に迷惑をかけまいとなあんにも言わずに、心臓だけ抱えて暗闇の中でもがむしゃらに走っていってしまう。そうしてしまう気持ちは私にも覚えがある。だからそれを否定してしまうのは私自身を否定するようなもの。暗がりも、心臓の重みもちゃんと覚えている。それと、本当は助かりたかったことも。誰にも言えない気持ちがあるのは当たり前だ。誰にも言わなくたっていいことなんていっぱいある。一人で頬を濡らしながら助けて、誰か助けてと泣いたこともきちんと私がみていた。生々しくて痛々しかった。まだ小さい君たちの背中にどれだけのものが背負われているのだろうか。大人ですら泣きたくなる世界だ。君が抱え切れるはずなかったんだ。何度自分を殺して生きてきたのだろう。
心臓だけを抱えて走り続けてきた君はいつか心臓も邪魔だと、そう思ってしまう日が来るかもしれない。わたしはね、君の最後の砦になりたいんだ。心臓を手放す前、なにか思い残しはないかと考えた時に君に思い浮かべて欲しいんだ。最後に自分の心でも託しに行くか、とかどうせ最後ならば思いを打ち明けてどんな表情をするかみてやろう、とか。決して止めるつもりはないよ。君が選んだものだ、わたしは君が一番幸せになれる方法を選択するよ。
ただ、少し後悔して仕舞えばいいんだ。君のことをこんなに好きな人間がいたのに、って。君とこんなに生きたかった人間がいたのに、って。それでどこかでざまあみろ、ここにあるじゃないか、と、こんなにも温かい人たちがここにいるじゃないか。ざまあみろ。って言われてくれたらいい。
言いたいことがまとまらなかったけど、今日は星が綺麗に見えるといいな。