こどもの日。自分がこどもだったときの、誰に話すでもない記憶を思い出してみる。
幼稚園に入って、はじめての驚きは、同い年にたくさん囲まれることなどではなく、のりを手でつけることと、ハサミの渡し方。工作のりの蓋をはめる感覚や、においは好きで、けれどのりを手で塗る感覚はどうも良い心地がしなかった。ハサミを渡す時に、持ち手を相手に向けて渡すことに、恐怖を覚えたのだ。己の腹に向かって向く刃先や、手元に刃先を握ることで、相手がもし刃を開いたら、みたいな想像が、こどもながらに、命の危機を感じさせた。だから私は、しばしばハサミを渡すとき、それとなく机に置いてあるものを「使っていいよ」と指さすことでことなきを得ていた。
私はカニと納豆巻きしか寿司が食べられないこどもだったので、祖父母は私が家に行くたび、カニと納豆巻きを用意してくれていた。ある時、私のために用意されたカニが、均一にほぐれるものだったために、私は食べる前にゴミ箱を漁り、「やっぱり」と言って、よくできたカニカマ、模倣品であることを親戚の前で口にした。あの時の私は、自分のめざとさを誇らしく思っていたが、今思えば、あれは相当嫌なこどもだったと思う。なので、この記憶について私は、当時のラベリングのまま、誇らしいもの、やってやったぜ、といったジャンル分けをしているが、今は思い出すたび、着々と罪悪感が募っていく。
と、いうのを5月5日に書いて上げていなかったので、本日起こす。子どもの時の話、たくさんある。頭の中にはあるけど、それをこうやって言葉にしてみるのも良いなと思った。またやってみよう。