4月だ。春だ。春といえば、私は入学式より、卒業式に春を感じる。あの、卒業式に感じているこころこそ、春だと思っている。
卒業式。気付けば流れるようにやってきて、決して晴々とせず、しかし晴れやかな日として、送り出す、出される日として、節目なのだと実感する、あの感覚が、私にとっての、春。
何かのはじまりではなく、何かが綴じられた時の、乾いた空気に、吹き抜ける、まだ冬の冷たさを残した風に、寂しさだけではなく、じわりと何かを期待する心に、春を想う。
苦しかったのか、悲しかったのか、嬉しかったのか、寂しかったのか、いろんな気持ちが涙となって、笑顔となって、頬に表れる、卒業式。和やかな談笑にも、静かさ混じる時間、あのこころを、私は春と呼びたい。