詩を読むということを、国語の授業でしかしたことがなかった私が初めて手に取った詩集は志樹逸馬の詩集だった。ハンセン病を患ったキリスト教徒の彼が紡ぐ自然のなかでの自身を見つめる言葉は、人の声より秋風に吹かれる枯れ葉が立てる音や夏の暑いいっときを懸命に生きる虫の声を好む私の目に耳に、頭の中に、静かに入り込んでそのまま今もとどまり続けている。とてもきれいな人の声だった。にれ