ロブスター(映画感想)

nakamura
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ヨルゴス・ランティモス監督の2015年の映画。パートナーがいない人間は動物に変えられる世界。

世界設定がキモくて、制作側が恋愛ロマンスをまったく信じてなくて良い。

嫌〜〜で具合の悪くなる映画をつくるのがうまいね(すき)。めちゃめちゃ嫌なのに好きな映画だった。

あの最悪のホテルでホモセクシュアルを選択した人たちがどんな暮らしをしてるのか気になるし、バイセクシュアルが廃止になった経緯も気になる。町のシーンとかちゃんと見たわけじゃないけど同性カップルはあの世界に見当たらないように思えた。ほかにも鼻血カップルの子どもがどこから来たのかとか(産みの親と育ての親は別になる世界な気がする。子どもはみんな施設で育って、優秀な子から親を得られる、とかね)、ほかにも細かい設定が気になりだすといろいろ知りたくなるんだけど(パートナーがいないといけない割に別れるのは容易そうなの謎だよね)(そもそも動物に変わるってどういうこと?)、そこを語りすぎずに2時間に収めたのは良かったと思う。

最初のほうの意味不明なセリフ(妻から別の相手とやっていきたいと言われたと思われるシーンで「その人は眼鏡かコンタクトを?」って聞くやつ)の意味があとからわかるの、演出として大好き。近視という共通点があるからカップルとしてうまくやれる、って思ってるってことだよね?? そして妻の新しい相手の男も近視ならしょうがないって受け入れられる。でもそれってどういうことなの? 共通点がないといけない? 女が失明したら自分も失明しないといけないの?

最初はあのホテルだけが恐ろしく狂った場所かと思ってたけど、そもそもいまのわたしたちの社会かなり極端にした形なんだな〜と思った。パートナーがいないといけないという社会の圧力や、「運営に支障が出る」という理由で排除されるセクシュアリティや、他者からみたらアホらしいような共通点を運命のように思い込んで恋愛関係になったりする。

俳優もすごく良かった。特にレイチェル・ワイズとレア・セドゥ。気品と(わざとらしくない)憂いの両方を兼ね備えてる。

※犬は無事じゃないしほかの動物も人間も無事じゃない

@nkmrik
日記と思ったことと思ってないこと