今日は朝いちばんに『栗の森のものがたり』という映画を観た。旧ユーゴスラヴィアとイタリアの境にあるちいさなまちが舞台のうつくしくさみしい映画。現在も過去も未来も幻想もすべてが境なくえがかれている。だいすきな一本になった。
そのあとギャラリーショップで開催されていた全国のZINEが集まるイベントに行った。ZINEを取り扱うような催しが札幌でもあることがうれしい。ギャラリーはなんだか大正モダンといった感じの素敵な空間で、なんの変哲もないビルの一室であることを忘れてしまう。しばらくうろうろして、見本誌もたくさん読ませてもらって、9冊買った。これから読むのが楽しみ。
古本屋にも寄った。たまたま目についたきれいな表紙の古い同人誌、昔の若者たちの詩が載っているそれをぱらぱら見ていると、祖父の名前と詩が載っていておどろいた。祖父は詩を書く人でいちおう詩集も出版したりしていたけれど、愛知の人だ。その同人誌も発行元の住所は祖父が死ぬまで暮らした愛知のちいさなまちだ。ここは札幌で、わたしは縁もゆかりもない札幌の地に移住してきていて、こんな遠い土地に60年以上も前の本のなかに祖父を見つけることがあるなんて。祖父は若いころから世界中あちこち旅する人だったから、祖父の詩もここまで旅してきたのだと思うとうれしい。詩はあんまりわからなくて、祖父の詩のこともなんだかむずかしいぞ……といつも思うんだけど、言葉を書いて本にするということはこうやって後世にも言葉を残していくということなんだなと思った。
---
名姓の順になまえを裏返すアルファベットがすこし疎ましい