詐欺だったのかもしれない話

中村
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時効だろうと思うので書く。

大学を卒業して数年経ったある日、大学時代の友人からいきなり長文LINEが来た。

彼とは大学時代、すごく懇意にしていたわけでもなく、会えば話はするし一度他の友人を交えて三人で飲みに行ったくらいの関係だったのだ。もちろん、頻繁に連絡を取る間柄ではない。というか、そもそも私が大学時代の友人と頻繁に連絡を取らない。

私は地元を離れたので卒業してから会うこともなく、実に数年ぶりの連絡となるわけだが、内容は要約するとこんな感じだった。

「久しぶり!実は起業をするんだけど、銀行から融資されるのが遅くなりそうでさ!明後日までに50万必要なんだけど借りられないかな?街金とかは断られちゃった!貸してくれたら一月後、80万にして返すからさ!」

私は思った。詐欺だこれ、と。

彼が自主的に詐欺をしようとしているのか、詐欺にかけられ詐欺と知らないまま二次請けとして私に連絡をしてきているのかはわからないが、多分間違いなく詐欺だと思った。

ちょっと詳しく話を聞いてみたら、彼は学習塾を開こうとしており、その開業資金として50万円が必要だそうだ。そんなお金ないです、と答えたら20万円でもいい、と食い下がられた。その場合は30万だかにして返してくれるらしい。

更に詳しい話は電話で、とのことだったがその時私は残念ながら会社勤めであった。貸す気は毛頭なかったが、時間があれば正直話は聞いてみたかった。何故なら、私の通っていた大学はいわゆるFランで、塾を開いたからと言っても有名大学のようにネームバリューで人を呼べるわけがない。更に彼はアルバイトで塾講師をしていたわけでもなく、ノウハウがあるかないかと言われればないだろう。

そんな彼がどのような塾を開くのか、そしてどうして利息分を返すのか、その詳細を聞きたかった。あと電話だと証拠が残らないから出来ればLINEで証拠が残るようにして欲しかった。

残念ながら私は出勤し、その後の話は聞けなかったわけだが、彼は今どうしているだろうか。連絡はとっていないとはいえ、リムーブやブロック、アカ消しなどがなかったら彼はいまだに私のTwitter(現X)フォロワーであり、この記事を見る可能性が無いとはいえない。

この記事について彼から連絡がきたらそれはそれで面白いしもう時効だろ!と思ってこうしてネタにしている。

当時の記憶を元に書いているので、金額など細かなところの違いはあるかもしれないがまあ大体そういう感じの出来事だった。その後すぐに連絡先を知っている大学の友人には「こういうことがあったから気をつけて!」と注意喚起をしておいた。

LINEの履歴をひっくり返せば恐らくその時の会話履歴も出てくるのだろうが、面倒だったので確認はしていない。

果たしてあれは詐欺だったのか。彼は塾を開いたのか。随分と時間が経った今はもうわからない。

だが私は十中八九詐欺だったと思っている。

@nkmryt
自由に書くチラシの裏です。