人生初の美容外科に行ってきました。
Twitter(現X)の広告に釣られてまんまと向かった感じです。なおその広告は後日見たらコミュニティーノートがつけられており、要約すると「値段ばかりを強調する広告は医療業界の信用に関わります」と書かれていた。この時点でやらかしたかもな、と思ったが、まあ話を聞いて、0円のクーポンを使用できたらしよう、駄目だったら帰ろう〜くらいの心持ちでいた。
結論から言うと、めちゃくちゃ勧誘された。そりゃあもうゴリゴリだった。ちなみにTから始まる全国規模のクリニックである。
以下は私の記憶に基づく体験記である。
まず、最初にカウンセリングということで自分が気になっている箇所を紙に書く。顔や全身、性器などもあった。私は広告で見た脂肪溶解注射が気になっていたので、リフトアップ的なところにのみ丸をつけた。
カウンセリングのお姉さんがそれを確認し、カルテのために正面と横から写真を撮られる。そして、「どうしたいですか?」と聞いてくれる。この時に華奢でなんとかかんとか〜と褒められたが、別に華奢ではない。普通である。仮に私が太っている!!!と自分の体型をものすごく気にしていて被害妄想が強かったらこの時点で「なんでそんな嘘言うんですか!?」とヒステリックに泣き喚いていたと思う。
そして私は「顎の下の脂肪が気になっていて、脂肪溶解注射なるものを試したいです」と伝えた。するとお姉さんは「脂肪溶解注射って1度やってもこのくらい(1ミリ以下の細さ)しか変わらなくて、何度もやらないとなんですよ〜でしたら脂肪吸引のほうがいいですよ!」といきなり違うものを勧めてきた。なら最初から広告に出さないでほしい。
その後、脂肪吸引はこのくらいの針を刺して脂肪を吸い出すので即変わる、こんな感じ!と症例写真をいくつも見せてくれた。この時点で脂肪吸引の話になっている。私は適当に相槌を打っていた。
ついでにほうれい線も気になるとカウンセリングに書いていたので、糸リフトを勧められた。長くて棘のたくさんついた糸が1本10万で、もう一種類の短くて棘が少ない糸は1本1万だそうだ。値段に差がありすぎないか?
そして糸リフトに関しての症例を見せられる。棘のついた糸を肌に入れるのでその棘が細胞を刺激して、肌を守らなきゃ!と思った細胞がコラーゲンを生成するので肌も綺麗になるそうだ。ふーん、雄猫の性器に棘が生えててその刺激で排卵を誘発すること同じ原理ね、と思ったが黙っていた。とても偉いと思う。こめかみに近い頭皮のあたりから糸を入れて引っ張ることでほうれい線やたるみが改善されるそうだ。効果は10万円の糸で5年くらい、1万円の糸で1年半から2年くらいとのこと。一度やるとコラーゲンもそのまま出るので、効果が切れてもぷつーん!とは弛まないそうである。細胞って一回糸入れるだけでそんな何年も肌を守る!!!コラーゲンだはなきゃ!!!ってなるもの?猫だって交尾の時だけなのに?という疑問が浮かんだが聞くと話がより長くなると思ったので黙っていた。
そして更に、顎にヒアルロン酸を入れることを勧められる。なお、顎に関してはカウンセリングシートに一切書いていない。何かこう、糸を入れて引っ張る3Dなんとかみたいな半永久的な施術も勧められ、症例写真をみたがなんというか……花王のマークみたいな顎になっていた。世間ではこれが美なのだろうか?と自分の美的感覚に疑問が湧いたが、やはり尋ねると長くなるだろうと思い黙っておく。
そして更にフェイスラインの脂肪吸引も勧められる。この時点で私は早く話終わらないかな…と思って適当に相槌を打っていた。
それが終わり、費用の話になる。具体的な費用は言わずに、「大きい金額になると思うんですけど、予算はありますか?」と聞かれたので、あんまり考えていないと答えた。あえて言うなら0円である。私は広告で見た0円の脂肪溶解注射にしか興味がないからだ。後半は黙っていたが、そう言うと「分割もできますので月いくらぐらいまでならとか〜」とさりげなく誘導をしてくる。
私は思った。これ、新興宗教とかブラック企業とかで「月どれくらいまでなら頑張れる?」って聞いて答えさせて、まるで自分が選択したかのように思わせる手法だ!と。なので「うーん、どれくらいの期間にもよるけど一万円くらいなら…?」と曖昧に答えておいた。期間を曖昧にすることで、相手の出した選択肢に後出しで拒否をできる。これは新興宗教やブラック企業に関わったからこそ経験が生きたと言えるだろう。叶うなら関わりたくはなかったし今後関わりたくはないが。
全てに対して曖昧に答え、一通りの問答が終わった後。お姉さんが「じゃあドクターを呼んできますね!」と退室していった。
次にまた別のお姉さんが来た。「カウンセリングお疲れ様でした、今ドクターを呼んできますのでお待ちください」と言って出ていった。その来訪いる?
そして少しした後に男性ドクターがきて、アルコール消毒をしてから私の顎下に触る。静電気が起きたが全く気にされていなかった。私はびっくりした。ちょいと触ってから何か言ってドクターは出ていった。正直カウンセリングのお姉さんとの会話で疲れていて覚えていない。
そしてまた別のお姉さんが来て「診察お疲れ様でした、少々お待ちください」と言って出ていった。だからその来訪いる?
ようやく最初のお姉さんが帰ってきた。ドクターが私のためのプランを作成してくれたらしい。A、B、Cとあり、Aが一番高くCが一番安い。安いとは言っても100万は超える。
プランの説明をされる。最初に希望した脂肪溶解注射はガン無視され、脂肪吸引が顎、フェイスライン、カウンセリングで一切話の出なかった頬、10万円の糸を大胆に左右7本ずつくらい使った糸リフト、顎を糸で引っ張る3Dなんとか、サービスでボトックスと何か(忘れた)は無料、ブロック麻酔、点滴の痛み止めと腫れ止め、カウンセリングで一切触れられなかった頬の脂肪吸引をすると顔が腫れるらしいので寝る時などにそれを留めるためのバンド(1万5千円)、占めて240万円程度がAプランだった。月6万円だか8万円だかの84回払い。
B、Cとランクが下がるにつれて脂肪吸引の箇所が減ったり、安い方の系と高い糸を混ぜたり、腫れバンドがなくなったりなどして値段は下がっていくが、Cプランでも120万であった。月々3万円からの分割払いである。脂肪溶解注射はなかったことにされていた。
「どうですか?」とお姉さんに聞かれ、私は「うーんちょっと…」と躊躇う姿勢を見せた。お姉さんは「Aは理想的なプランなので確かにお高いですけど、Cでしたらどうですか?今日まで20%オフでこのお値段なんですよ」とグイグイ勧めてくる。私は「ちょっと……思ったより高くて……」と日和る姿勢を見せる。するとお姉さんは「予算どのくらいでお考えでしたか?」と追い討ちをかけてくる。なお予算に関しては曖昧に濁したので、「せめて二桁くらいかな、と…」と言ったら、白い紙に手書きで書かれたプランDが出てきた。「これは私が手書きで書いたんですけど、こちらでしたらご予算抑えられますよ!こちらなら月1万円の84回払いも可能ですし」と新たな追い打ちをかけてきた、確かに料金は2桁に抑えられている。だが脂肪吸引は消えていない。
「脂肪吸引に関しては考えたくて…」と更に日和ると「ご興味おありかと思ったんですが…」と追い打ちである。「ほら死亡事故もあったので心配で…」と返したら黙ってくれた。本当は言いたくなかったが仕方なかった。
とりあえず今日は脂肪融解注射だけを受けたい、他は後ほど考える、という旨を伝えると、「それでは」とばかりに脂肪融解注射についての説明が始まる。まずその院では3種類の注射があり、英語だったので覚えていないが最も安いものがHP記載の料金である10cc19800円、それの2倍の効果がある中間ランク、最も安いものの4倍の効果がある最高級ランクの3種類だ。そして当然のごとく高級なものを勧められる。初回割引、笑気麻酔込みで4万円だった。
私はこうなったら戦おうと思い、LINEの画面を見せて「この0円のやつがいいです」と伝えた。しかしそれは他のものに比べて効果が期待できないのだという。今なら20%引きで4万円にできるからどうですか?と勧めてくる。「なら持ち帰って考える」と言うと「初回来院の割引ができなくなりますが…」と言うがそれでも構わん!と強気で挑んだところ、「でしたら中間ランクのものは笑気麻酔込みで7000円になります」と相手も粘ってくる。
ここで私は「笑気麻酔って必要なんですか?」と聞いてみた。すると「施術を受けるのに緊張とかされていたり痛みに対してリラックスしていただくためにつけています」とのこと。私は以前歯科治療をする際、ものすごく怯えていたら笑気麻酔を使ってくれて、どんな気持ちになるのかな♪とワクワクしていたのになにも変わらず恐怖心を抱えたまま麻酔を打たれ神経を抜かれた経験があるので、この笑気麻酔はほぼ確実に効かないと判断し、笑気麻酔なしならその真ん中の値段で受けると伝えた。するとようやく相手も折れたのか「自己責任でよければ…」と笑気麻酔代2750円を引いてくれ、4950円で施術を受けることに合意。ここまでで1時間以上かかっている。
この美容外科では豊胸や性器の形成などデリケートなメニューもあったので、カウンセリングルームはすべて個室であった。個室で2人きり、ここまで粘られたら契約をしてしまう人もいるんだろうな…と思いながら、去っていくお姉さんを見ていた。7:3くらいで私の勝ちだと思う。
その後渡された誓約書のチェック欄に「この契約は自身の意思です」的な文言があり、やはり密室で2人きり、あそこまで食い下がられると断れずに契約してしまった!ローン解約したい!みたいな苦情が来るんだろうな…と感じさせられた。
そして代金を払い、ようやく施術である。笑気麻酔がないにしろ、顎下なのでそこまで大した痛みではなかった。針そこまで入れるんだ!?という感覚と、今中に液体を入れられている…という感覚だけがあり、施術は5分もせず終わった。そしてアンケートへの回答をお願いされ、この時点で1時間40分がすぎていた。
「広告で見た醤油ラーメンが美味しそうでしかも割引中で200円だから行ったら、お店の人からそれより美味しい生醤油ラーメンがいいですよ!あと味玉と海苔とネギが合うのでそれを乗せましょう!チャーシューとメンマはサービスで、合計1000円です!」という体験をした気分である。
大変疲れたので、もう二度と行かないと思う。あと長いからせめて水くらい出してほしい。初回だけ格安で行った某セルライト潰しの店は美味しいお茶を出してくれたのに。何故か飴は置かれていたが、飴より水がほしい。
世間で美容整形をする人はこのようなゴリゴリの盛り盛りプランからの相談という過程を経て、かつ少なくない金額を支払い、施術によっては施術中だけではなく、終わったら後もしばらく痛い思いをしているのだと思うと、素直にすごいな……と思う。1万5000円のバンドを顔に巻いて寝なければいけないほどの腫れと痛みに耐えられる気がしない。ピアスすら怖くて開けられないというのに。
なお脂肪溶解注射の効果があるかどうかは追って報告をさせてもらうつもりである。