二、三年前に、一度行ってみたいと思っていたオタク婚活にフォロワーと行った。
結果は前回の記事通り連絡先を一つももらえず終わり、二度と行かないと固く誓ったのだが、もしかしたら誰か何かの参考になるかもしれないから書いておこう。
まず、フォロワーとは初対面であった。にも関わらず私は財布を忘れた。
しかもオッドタクシーのコラボカフェで注文してから財布を忘れたことに気づいたので初対面のフォロワーにお金を借りた。最悪である。
そして婚活会場に向かう。場所は池袋のビル内一室。財布を忘れたということは身分証のない不審女性だがどうにか入れてくれた。参加費は覚えていないが、3000円はしなかったと思う。もちろんフォロワーに借りた。
室内は真ん中にジュースやお菓子が置かれており、壁際や窓際に椅子が設置されていた。女性はソファー、男性は椅子で男性がぐるぐる回っていく方式である。
待っている間に自己紹介シートを書く。年齢や職業などの基本的な情報の他、好きな作品の欄があった。
ここに何を書くかは重要である。一口にオタクと言ってもジャンルは様々だからだ。アニメ、漫画、ゲームから映画、アイドル、ミリタリー、電車などなど星の数ほどある。そして仮に漫画が好きと合致したとしても、作品を知っているとは限らない。つまり、共通の話題にならない可能性がある。
私「日本橋ヨヲコ先生の作品が好きで…」
相手「知らない方ですね」
なおこれは実際にあった例である。自分に嘘をつきたくなかったので、ほどほどに知られているだろう作品を書いたつもりがこうなった。ならば鬼滅とか書けばよかったのか?しかしそれだと流行りの作品ばかりしか知らないように見えないか?そして私は鬼滅を読んだが熱量高く語れるわけではない。そもそも流行りの作品をほぼ見ない。なんなら鬼滅に至っては登場人物の名前もあやふやである。
この、主に美容院などで発生する「相手がオタクで『何が好きなんですか?』と聞かれた時なんと答えるか問題」は私の中でまだ解決していない。パーフェクトコミュニケーションを目指したい。
相手が男性ならばアイマスやFGOは履修しているのでは?と書いておいたが、驚くほど触れられなかった。というかほとんど全員あまり知らない作品を書いていた。「教えてください」とか言えばよかったのだろうが、マスク+飛散防止のパーテーション+周囲の音声で何を言っているかほぼ聞き取れない。バッドコミュニケーションすぎる。大体私はコミュニケーションに難があるので、名前だけ知っている作品を見たところで「あっそれすごい人気ですよね…」くらいしか言えない。婚活以前の問題である。
唯一ミステリ読みの方がいて、その人とだけは話せた。作品欄にはびっしりとミステリ及びサウンドノベルが書かれていたのでガチな方だった。かまいたちの夜2を認めるか否かの話をした。
大体一人十五分程度しか話せないので、そこまで深い話はできない。一周終わったら指名を書いてスタッフさんに渡すのだが、そこで双方マッチングすれば祝福される。また、マッチングしなかったとしても連絡先を渡したい人がいればその人に渡すこともできる。全員に封筒が渡され、次回の割引券と共に連絡先が入っているかもしれないというシステムだ。これなら誰からも連絡先を渡されなかった私のような非モテも恥を晒さなくてすむ。
なおマッチングは一組だった。以前書いたように、私ではないし誰からも連絡先は来なかった。負け惜しみではないが、連絡先を渡したい人の欄に誰も書かなかった。何故なら疲れ切っていたのと、誰が誰だかわからなくなっていたからである。普通に生きていても人のことを覚えられないのに十五分の会話で覚えられるわけがない。
私の最初で最後の婚活パーティーはこんな感じであった。私の顔がきついので、少しでも印象を和らげようと垂れ目のメイクを施し小花柄のスカートなどを履きいかにもおとなしい女子らしくしてみたが全て徒労に終わった。もう今後は悪夢みたいな柄の服とか変なところに穴が空いている服とか趣味の服しか着ないことにしようと思う。メイクもガッツリ吊り目でいく。
以上、長くなったがこれが最初で最後の私が体験した婚活パーティーである。外に出て、しかも目まぐるしく変わる初対面の異性と話すという非常に疲れたので二度と行かないと誓っている。
あれから数年のときが経ったが、もちろん浮いた話はない。というか引きこもりの在宅勤務でマッチングアプリもやっていない人間にあるわけがないのである。他人との会話は会社の人とのミーティングかTRPG、コンビニで「袋いいです」しかない。
来世に期待。