ホワイト企業を名乗るブラック企業に勤めていた話

中村
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新卒で唯一受かった会社がそこだった。

新卒の初任給をいつのまにか1万円サイレント下方修正していた会社だ。

やたら耳に残る宣伝カーの会社といえばわかる人も少なくないと思う。私は一時そこに勤めていた。

そういった業界ではあったが、反社会勢力とは(私の知る限り)関連はなかった。とはいえ新卒で入り8ヶ月で辞めたので本当のところはどうだか知らないが。

そこは以前、ブラック企業だったと言っていた。怒鳴るなどは当たり前で、他にも色々あったと言っていたが忘れた。だが、今はホワイト企業に生まれ変わったのだと自慢していた。

とりあえず私は社会不適合者なので、研修2日目にして「これから…ずっと朝起きて電車に乗って夜帰る生活なのか……嫌だな…」と思っていたが、まあなんとか通っていた。

しかし研修が終わり、実際配属されるとホワイトとは?という有様であった。

まず、サイト運営部に配属された同期の人達は定時に帰れることがほぼない。ちなみに45時間まで見込み残業制という、実質使いたい放題制なので何時間残業しようが給料は変わらない。

クレームなどの処理を行う部署に配属された人は爆速で精神を病んで辞めていった。

私は幸い、マーケティング部というマシな部署に配属されたので定時に帰っていた。同期に「マーケティング部の人たちは定時に帰れていいよね」と言われたこともあった。

しかしある日、部長との面談で「定時に帰ると仕事をまわされてないと思われて評価下がるよ?」と言われた。私は意味がわからなかった。未だに意味がわからないし、そもそも定時後にやるような仕事がなかったので仕方なく一時間デイリーポータルZを見てから帰っていた。

なお、部長以上のクラスになると残業45時間超えは当たり前で、タイムカードを切って働いていた。

仕事を教えてくれる先輩には「中村さんは同期の○○さんと比べて帰りの挨拶が明るくないからもう少し明るくしてみたらどうかな!そうしたら評価も上がると思うよ!」と言われた。うるせぇな。

これに関して言うのであれば私は挨拶をしていなかったわけでもなく、ボソボソと言っていたわけではなく、ごく普通の声量でごく普通に「おはようございます」と「お疲れ様です」を言っていただけだ。たとえ先輩が私のためを思って言ってくれたとしても、私に一切の非はないと思っている。

念のために記すがこの先輩はとてもいい人であった。他の人がアレというのを差し引いてもいい人であった。なので、純粋に私のためを思って言ってくれていたのであろう。だがうるせぇなと今でも思う。こういうところが私の駄目なところである。

研修では社訓を覚えないと次のステップにいけないし、そもそも月に2、3人は人が辞めていたように思う。

これは別に業界がアレだからというわけではなく、ただ単に見込み残業制とかいう使い放題プランと、残業をしないと評価をされないというクソみたいな人事制度、挨拶がどうのとかいう主観に満ちた判断基準、業界のせいかなんなのか社員の皆様方のちょっとズレた倫理観などが影響していたのではないだろうか。

ちょっとズレた倫理観についてだが、まず社内で不倫が起きていた。W不倫である。しかも二人とも役職持ちである。それが社長にバレ、何故か男の方だけ降格させられるという謎の人事であった。

社内での肉体関係の諸々も多々あった。聞く限り割とご兄弟やご姉妹がいらっしゃった。もちろん既婚者やお子さんがいて、そういった話を聞いたこともない人もいたが、フリーの人は割とアレだった。

同期の一部もアレであり、業界が業界だから倫理観とかマヒしてんのかな…と思ったものだ。

どこの人事もしているのかわからないが、そこの人事は転職会議などのサイトにサクラ書き込みをして点数を上げていた。

色々あって、とても仕事のできる平社員の方から「僕はあの次長を引き摺り下ろしたいんです!だから協力してください!」という要請もされた。人生でこんなセリフを聞くことがなかったので、その人の顔も名前も覚えていないがこれだけは今も覚えている。

ホワイト企業でみんな仲良し!とってもアットホーム!な感じを売りにしていたが、内部はこんなもんである。男女(時には同性)の肉体関係のあれこれと権力争いのあれこれと残業こそ正義の人事評価、これのどこがホワイト企業だというのか。

私も早々に色々あった関係で(これは私が3〜4割くらい悪いとは思っているが、今の私でも同じことをすると思う)8ヶ月(そのうち休職4ヶ月)という早期退職をしたが、正直辞めてよかったと思っている。

何年か後、たまたま思い立って転職会議を覗いたら「社長がある朝いきなり罷免されました」という書き込みがされていて、何があったのかわからないまま会社は別の名前になった。

社長のFacebookも消えていたし、2ch(現5ch)にも書き込みがなかったので、本当に何があったのか不明である。罷免されるレベルのこととは一体何だったのだろうか。

まあ……本番禁止の風俗で本番交渉をするのが楽しいとか言ってた人なんてそんなもんよなあ…。

時効だと思い書いてみたが、やばそうだったら消します。

ちなみに私の直属の上司(残業云々の件を抜けばとても良い人だった)はある日いきなり沖縄だかどこかの小さな村で住み込みの観光PR隊に志願していた。彼もまた謎である。

(追記)

諸々に引っかかると思うので公開するつもりはないが、当時私が勉強としてメモしていたノートが丸々残っている。

なのでサイトの掲載料金とかシステムとか当時のものがきっちりメモされている。面白いので残しておいてたまに見返そうと思う。

精神を病み病みに病み、今に至るわけだけど後悔をしているかと言われたら特にしていない。

世の中いろんな人がいるなあ!というのと、見込み残業制は滅びろという知見を得られたのはとても良かったと思う。とはいえ、また働きたいかと言われたら絶対働きたくない。

当時働いていた会社の人にTwitterを教えなくてよかったと思っている。

@nkmryt
自由に書くチラシの裏です。