実家にいるときは父のことが大嫌いだったし父に対して嫌なことも思っていた。短気だった父は、体が弱っていくにつれ丸くなっていった。でもそれでも今までのことで許せないことがたくさんあって、近くにいた時は避けていた。それなのに実家を離れて、死ぬかもしれないとなったらこれだ。
自分が風邪をひいて寝込んだ時に下の階からストーブを持ってきてくれたりポカリやゼリーを買ってきてくれたりしたなあとか、結婚の挨拶に行った日の帰り際に「すごくいい子なんで、どうかよろしくお願いします」と夫に言っていたのが聞こえてきた時のこととか、そんなことばかりを思い出す。
距離感の問題だったのだと思いたい。今までは近すぎただけで、離れてちょうど良かったんだと。離れたらすごく大事に想えていたし、今までの許せなかったこととかも忘れていたりした。このまま忘れてくれていたらいい。
思えば人生で「父に嫌われるかもしれない…」と思ったことは一度もなかったなとか、無条件に絶対的に心から愛してもらえていると思い込んでいたなとか、最近思う。10代の頃は特にぶつかっていたが(大喧嘩をして夜に家を飛び出したりしたこともあったなと)それでも垣間見える父の自分を想ってしてくれていた言動が、自分への愛が確実に自分に伝わっていたのだと思う。これはかなり幸せなことだったんだな(現在進行形で)と最近思ったりする。
父は8月に一度心肺停止した。でもなんとか戻ってきてくれた。その頃から心臓が弱ってるみたいで、心臓は一度弱ると回復は無理らしい。1日おきに透析をしたり、肺炎、敗血症、脳梗塞にもなったりで、父の体はもうボロボロだ。おまけに今回は大腿骨にヒビが入り立てなくなり入院をした。炎症の数値が高いのやらなんやらで手術が出来ませんと、何度も手術がキャンセルになっている。会いに行ったらせん妄も起こしていた。泣きそうになったが我慢した。家族のことはわかるみたいで話は出来た。手を握ったら握り返してくれた。最近のホットなトピック(?)を爆裂トークしたら、楽しそうに聞いてくれて、少しだけせん妄がない状態の父に戻ってくれていた感じがした。全部は書けないくらい複雑なことが起こっているが、月曜日にまた進展があるかもしれないから少し期待をする。
なるようになるし、なるようにしかならない、と家族とも話した。家族は皆いたって冷静なのでありがたい。特に母が元気で明るくて救われる。悲しくないわけではない、でも悲しんでる暇はない、と母。近所のノンちゃん(母と私の友達)も言ってくれていたが、母、本当に偉すぎる。自分も悲しんでる暇があったら父のために何ができるかを考えられたらいいなと思った。
自分にできることをさせてもらえる期間だと思おうと思う。出来るだけ多く会いに行ってあげたいし、喜んでくれることをしてあげたい。自分が父のことを想ってすることなら父はなんだって喜んでくれる、という自信なんやら自惚れなんやらも、父からもらったものだと思うと、涙が出てくるくらい愛おしさを感じる。実際電車に乗りながらこれを書いているが涙が出てきてマスクと長くなった前髪で隠している。
父に対しての気持ちや父が頑張ってくれていることを残しておきたくて記録をしてみる。