春休みだったところ、仕事が始まったので忙しくなって全然書かなくなってしまっていた。私は大学生に教える仕事をしているが、大学生にどうやったらうまく、かつ楽しく表現をしてもらえるかということをよく考える。表現のバリエーションは多い方がいいし、色々なメディアを時と場合によって使い分けられるようになってほしい。自分を表現するというのは、何よりこれから、どこにおいても、生きていくために必要となるはず。だから、今期は期末レポートは課さないから、学期末にエッセイを書いて、それをまとめてzineにしようと提案した。
おそらくエッセイをエッセイと意識して読んだことのない学生たちに、お手本として持って行ったのは、イ・ランの『悲しくてかっこいい人』のあとがきと、こうの史代の『平凡倶楽部』に収録されている「私の白日」というエッセイだった。意識して読んでみると、私がよくできていると感じるエッセイは、自分の個人的な経験から始まり、中盤でテーマとなる核心に触れ、最後は特に結論があるわけでなくオープンエンドで終わる。ただ経験だけを書き連ねてもよいエッセイとは言えず、「伝えたいメッセージ」が自身の体験をもとにしてさりげなく、でもきちんと書き込まれているのが重要になる。
ただエッセイを書くというよりは、ゼミで文献を読んだり観察をしたことと結びつけて書いてほしいということも伝えておいた。いいものが出てくるかどうかは学期末になってみないとわからないけど。