作った本の装丁メモ③

Nanase
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2023年、期せずして2冊の本を作ることとなった。なった、と言うのは変な言い方だと思う。決定しているのは自分であるのだから。勢いに任せていたらできあがっていた、と言った方が適当かもしれない。表紙・組版デザインともに外注しているので、作ったと言うにはいささか図々しい気もするが、それはさておき、2冊の本を作ってみた。そして、フェアや早割を利用すれば、比較的安価に薄い本が作れることに気づいた。そこで、同じフェアを利用して、本のサイズや表紙用紙、本文用紙を変えて自分用の本を作ってみようと思った。

実験的な意味合いが強かったので、最少部数だけ刷ることにした。(しかし、結局最少部数+数冊で発注し、余部をたくさんいただいたので、結果的に最少部数の倍の数が手元に届いた。)1年半ほど前に書いた話をそろそろ消そうと思っていたが、とても気に入っていて消すのをためらっていたので、そちらをどこかに残しておきたかったのもある。自分用の本であるけれども、せっかく手元に残すならばと、1、2冊目でお世話になった組版デザイナーさまにトータルデザインをお願いした。

3冊目

・2024年の年始発行、A6、カバーなし、本文22P(表紙と裏表紙の4Pはカウントせず)

・表紙用紙:ミランダあい170kg

・本文用紙:上質紙90kg

・本文:夜永オールド明朝、8.5ptだろうか?(おまかせでお願いしたため確認しそびれてしまった/後日確認したい)、26字×24行、二段組

・くちえ用紙:トレペホワイト

前回の本を作ったとき、表紙用紙をNTラシャ漆黒とミランダ黒のどちらにするか迷って、表紙デザイナーさまにもアドバイスをいただきNTラシャにしたのだが、今回はミランダにしたときの雰囲気を知りたくてミランダあいにした。デザイナーさまのご好意で表紙用紙を変えた場合のデザインイメージを複数いただいたため、NTラシャ濃赤とどちらにするかとても迷った。(余談だが、NTラシャ濃赤を表紙にバレンタインをテーマにしたデザインにするとかわいいだろうな、とまた別の本のイメージが湧いた。)

くちえは、前回の本もそうなのだが、印刷所さまのくちえ印刷無料キャンペーンを利用して無料で差し込むことができた。前回はノートらしさを表現したくクラフトにしたが、今回はなんとしてもトレペを使って、印刷した際の雰囲気や透け具合を見てみたかった。

本文用紙は本全体で「雪」を表現したかったため、小説本でよく使われているらしい淡クリームキンマリではなく上質紙を使った。70kgにするつもりだったが、薄い本のため90kgにした方が背幅の収まりがよいかもしれないとデザイナーさまにアドバイスをいただき、90kgに変更した。

実際に手に取ってみての感想としては、NTラシャでは白トナー印刷がパキッとはっきりした色合いで印刷されていたのに対し、ミランダを使用するとはっきりはしているもののマットぽい風合いで印刷されていた。ミランダの上品な煌めきがシンプルなデザインと合っていて、デザインの余白が用紙の煌めきを活かしていた。ただ、用紙が少し硬く、めくりづらいことが難点だと感じた。薄い本だったのでなおのことそう感じたのかもしれない。

くちえのトレペホワイトはうっすらと下の用紙の文字が透けて見えてとてもよかった。本扉の前にくちえを差し込んでいるため、本扉と連動したデザインにしたり、仕掛けを施すのにとても向いていると思う。

薄い本だったため、本文用紙を上質紙にしても目の疲れは感じなかった。表紙用紙のミランダと本文用紙の上質紙との相性もよかったように思う。90kgにすることで裏面の文字が透けて見えることが全くなかったのもよかった。今後も薄い本のときは90kgにしようかなと思った。もちろん、70kgよりも少し硬くめくりづらさはあるが、薄い本であればさほど気にならない、というのがわたしの所感である。

本文フォントは、せっかく組版デザインを外注しているということもあり、前2冊の本文を有償フォントにしたのだが、今回は無料のフォントにした。静かな雰囲気の話と合っていたように思うがどうだろうか。

今回の本は仲のよい方たちに無配として受け取っていただいたのだが、まだ少し手元に残っているのでなんらかの形で無配として頒布できないか検討している。BOOTHでは0円頒布できない上にできたとしても送料が高額なので、薄い本のときには頒布方法に苦慮する。

40部以上刷れば単価もかなり抑えられるためイベント参加時に無配としても利用できるし、最少部数で刷れば金額も抑えられて自分用の本として刷るのに負担も大きくなく、とてもありがたい価格帯のフェアなので、ぜひともまた利用したいと思う。