記憶が新しいうちに、作った本(同人誌)の装丁についてまとめておこうと思う。写真を載せた方が格段にわかりやすいのだが、わたしは表紙や組版を外注しており、紹介にあたっては事前に掲載可否を確認する必要があるため、まずはデザインやジャンルなどは記載せずに記す。余裕ができれば各方面に掲載可否の確認をとり、写真を載せるかもしれない。(忌憚のない意見を書くためにも敢えて特定に至る情報は載せない方がよいのだろうか。その点も別途検討したい。)
1冊目
・2023年夏発行、カバー付き文庫本、本文116P(表紙と裏表紙の4Pはカウントせず)
・カバー用紙:ペルーラ・ラスター・スノーホワイト135K(グロスPP加工)
・表紙用紙:OKマットポスト180K
・本文用紙:淡クリームキンマリ70K
・本文:筑紫Aオールド明朝、8.5pt、38字×15行、一段組
印刷所は同人誌印刷業界では初心者に親切と評判で、見積や背幅をシステム上で計算してくれ、印刷や製本も美しいと聞く某印刷所さんを利用した。価格は少しお高めだが、早割を使うことで抑えることも可能。(わたしも早割を最大に近い日数で利用した。)連絡が早く、見積や納期がシステム上で簡単に計算できるので、表紙用紙やページ数が変わったときにさっと見積を取ることができてとても便利だった。
最初にして最後の本になるかもしれないということで、予算よりも満足感を重視して作った。
傷がつきにくいようにとカバーにPP加工をつけたが、表紙がでこぼこした質感だったので、PP加工をつけない方が風合いを活かせたかもしれない。また、PP加工をしたことにより予想よりも濃い色味になったことと、めくるときに少し硬さを感じたのが気になった点である。ただ、薄い本でありながらへたらず自立する点はよかった。加工をつけずに浮いた金額で箔押しをすればよかったかもしれないとも思った。
表紙用紙はデザインの余白を活かせるよう黄味がかっていない真っ白な色合いの用紙であることを重視したが、めくりやすく、手ざわりもよかったので気に入っている。
本文用紙は多少裏写りもするものの、文字を読むのに気にならない程度であった。
本文のノンブル(ページ数)を天地どちらにするか散々迷って地につけた。ノンブルが地にある方が気が散らなくてよい気はするが、天にあった方がデザインとしてはすっきりしているように思う。どちらがよいかの結論は出ていない。
文字数が35,000字程度と少なめにもかかわらず文庫らしい見た目にしたくてゆったりとした段組にしたが、間延びすることはなかったように思う。文字の大きさが少し小さく感じたが、書体の影響がかなり大きかったように思う。この辺りはあくまで主観であるので、ぜひとも手に取ってくださった方の忌憚ない意見を聞きたいところだ。
中身についてはここでふれるつもりはないが、個人的なこだわりであとがきは載せなかった。本自体をシンプルに、できるだけ書き手の自我を感じずに話を読んでもらいたかったためだ。ただ、あとがきで作者のこだわった点や裏話を読むのはわたし自身が好きなため、パスワード付きのあとがきページをweb上に作った。この方法だと、わざわざ手間をかけてアクセスしてもらわなければならず、不親切だったように思う。なにかよい方法がないかは今後も考えていきたい。
カバーに隠れてしまう表紙部分もデザイン性の高いものにしたり、カバーの折り返し部分にもデザインを施してもらったりと細部までこだわって満足のいく仕上がりになったが、やはり細々とこうすればよかっただろうかと気になる点は出てくるもので、こうして人は2冊目、3冊目に手を出すのだろうと思った。