ウロタモモ

のぶこふ
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ポケモンSVのDLC、良いですよね。と言っても、後編は全然やっていないのですが・・

かれこれ10年以上前に、鬼目線での桃太郎の話はどうだろう?と考えた時期がありました。なにか、そこに通じるものがあるなぁと先程思い出して、世には出してないですが、私の中にあった「ウロタモモ」の成仏なのか、世に出せなかった後悔なのかは分かりませんが、少し筆を取ろうと思います。

以下、あらすじです。

ウロタモモ

昔、人々が住む海辺の村の近くに、一つの島があった。島には、親のいない子ばかりが住んでいた。彼らは、異国の地の血が混じっているからか、海辺の村の人々と顔立ちとは異なるものがあった。海風にさらされた髪は固く、強い日差しで照りつけられた体は赤黒く、引き締まった体を一層大きく魅せていた。

「お兄ぃ(おにぃ)」

年長の青年は、他の子たちから、そう呼ばれていた。

月に一度、おにぃは舟に乗り、村へ商売と買い物に出かける。島の近くで捕れた魚や島の果物を売り、薬や島では採れない野菜を買う。一枚の布で顔を隠して・・・。

島に異国の者が住んでいる。というのは、村人たちには周知の事実ではあった。怖れはあったが、害をなすわけでもなく、月に一度、新鮮な魚や果物との引き換えを考えれば、そのことに触れぬ方が懸命ということも理解していた。

ある日、熱心な信教者が村を訪れた。その日は月に一度の日であった。小さな村では、遭わないことの方が不自然であった。「オニィ」と呼ばれる異質な生物を前に、信教者は、逃げ出した。

いくつかの日が過ぎた。いつしか、こんな噂を耳にするようになった。「オニが住む島がある。近くの村に出向いては、農作物はおろか、金銀財宝、女子供を奪い、悪さをしているという」。

さてさて、そんな噂話を聞いた、山奥の青年は、オニの退治に出かけるのであったーーー。

(おしまい)