ロイの基礎テストのために、リコたちはボウルタウンにやってきました。おかげでコルサとハッサクが同じ回に登場して会話するという嬉しい供給がありました。
それだけでなく、冒頭でハッサクがフカマル先輩を連れている(フカマル先輩がハッサクを連れているのかもしれない)という不意打ちまで食らってしまい、私は膝が割れてもんどり打っています。先輩と学校の外歩くんや! ボールから出して! 歩くんや……! 彼氏やん! 夫やん! パパやん! うわああああああああ!
さて、全体を通して思ったのは、「見ていないようで子どもをよく見ている大人って素敵だな」です。
早くテストに挑戦したかったロイですが、芸術祭の準備を理由にコルサからバトルを断られてしまいました。代わりにバトルジャンキー生徒会長と実りある勝負をすることになります。コルサが制作しているすぐ横で。騒音、振動、汚れ、いろいろと大丈夫なのかよ。それで良いのかコルサ。止めないのかハッサク。
背を向けて作業に集中するコルサですが、バトルを肩越しに見ているんですね。バトルはしないと断って突き放したかと思いきや、がっつり気にかけている。
こういう、見ていないふりをしながら実はよく見ている人って、すごく尊敬できると私は思っています。それらしいことをあれこれ口出しするのは簡単ですが、相手にとっての優先順位やキャパシティを考えないで助言しても、それは助言する側に満足感があるだけで、助言される側はうまく受け取れません。
ここでのコルサはそうではなくて、ロイに今必要なことだけを短い言葉で伝えていたので、単に言いたいことを言ったのではなく、ロイの成長を願って発言したのだろうなと考えました。言い方や態度も相まって、なかなか厳しい接し方になっていましたが、これはロイへの期待の裏返しでしょうか。とにかく、子どもをよく見ている大人としてのコルサが最高にクールでした。
そして、その後ハッサクが「芸術祭に出品してみては」と話題を切り替えるのも良いですね! 彼もまた、背景で作画崩壊気味に棒立ちしているだけかと思いきや、人をよく見ていました。コルサとバトルできなくて、それだけでなく厳しいことまで言われて、元気いっぱいのロイもさすがに少し気落ちした様子でした。また、コルサがヒートアップしないように牽制する意図もあったのかなと思います。
これは完全に捏造ですが、たとえばコルサが過去に気に入った新人に対して良かれと思って芸術論議をふっかけた結果、新人がプレッシャーで潰れてしまった……みたいなエピソードをハッサクが知っていて、同じ轍を踏まないように配慮した、とかそういうのかなと思います。そういうのだと私が嬉しい。
もっともっと妄想しますと、この後ロイとホゲータの創作現場にコルサがやってきてまた一言述べて去っていきますが、これもハッサクが仕向けたのだとしたら素敵やんと思います。「ロイくんの様子を見に行ってはいかがですか」とか、リコたちの知らぬ間に耳打ちしててくれ。
創作物のお披露目シーン、リザードンの焼き物は見事でしたね! ドットの観覧車も面白かったです。リコの手形アートは、それ私も二次創作でやったやつ! となり、嬉しさと気恥ずかしさでテレビの前で独り赤面しました。ほんの少しとはいえ公式様とネタ被りとか畏れ多い……。
その後のバトルで見事テストに合格し、ロイはコルサから芸術家としても認めてもらうことができました。
コルサがロイに期待をかけるのはなぜなのだろう、と思いながら見ていたのですが、彼はロイのことが羨ましいのかなと考えました。中井和哉氏のインタビューで、コルサは「変わった人ではありますが、人としての基本を踏み外していない」大人で、「そういったありきたりなものを自分の中に感じるからこそ、突き抜けてみたくなる部分もある」のではないかと解釈されています。コルサが自身を「突き抜けきれない常識人」と評価しているのだとしたら、直観でのびのび動けるロイに憧れがあるのではないでしょうか。自分にはないものを持っているロイだからこそ、ぜひ自分の見ているところで花開いてほしい、そう願ったのではないでしょうか。
子どもを見守る良き大人としてのコルサとハッサクを楽しめた回でした。また出てきてくれると嬉しいです!