部屋の掃除をしなければならないが、動けない。音楽を聞いている。spotifyで適当なプレイリストを流すが、恋愛の歌ばかり流れてくる。一途であることも、心が弱いところも、尽くすところも全てが裏目に出た気がする。ただの運だ。たまたまこうなってしまっただけだ。そんなに深く考える必要はないらしい、と人づてに聞いた。だからやり直す未来はあるよ、と。ならばあれほど「悩んでいた」と話していたあの人は誰だったのだろうか。そしてあの人が俺に言った原因一つ一つに向き合って改善しようと努力したこの時間は一体何だったのか。
俺にとって人を好きになることは雷に打たれるようなものであって、理由なんかない。生きていると勝手に発生するイベント。全くコントロールはできない。そのせいで色んな人を好きになり、その度に苦しんできた。
人を好きになるのはほんとうにつらい。絶対に叶わない望みを叶えたいと思ってしまうわけだから。その上で「もしかしたら」と「やはりだめだ」が交互に現れ、その落差で頭がおかしくなる。ほんとうに苦しい。その苦しみは毎日続く。毎日毎日俺を苦しめる。何で俺はあなたを好きになってしまったんだろう。ただ苦しいだけのこの感情は何のために存在するの。生まれてこなければよかったとさえ思う。
その望みがやっと叶ったと思った。ようやくこの地獄から解放されるんだと思った。この苦しみから解放されるなら何だってできた。俺は何もわかっていなかった。