平熱のグラスにアイスコーヒーを入れて冷たくしたのはわたし
母の日の母抜きもある(こともある)生まれなくてはならなかったの
詩の短さゆえに覚えていられるという面もあり」水茄子を買う
いわし四尾パックのなかで死んでいるあたまを互い違いに向けて
バッグには入りきらない牛乳を持ち信号を待つひととなる
なべて死は無惨で生は無様ならローズマリーにまみれたいわし
卵液を注ぐ瞬間を見極めるためにわずかな卵液熱す
入院の手引を捨てることもでき、できなかった日からここにある
お祝いを。ケーキのチョコのプレートはちいさくて遺言は書けない
発狂は寂しい身体言語(ボディランゲージ)ニーチェの馬を視聴できない
/西村曜「未来」二〇二六年八月号