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「未来」二〇二六年八月号

平熱のグラスにアイスコーヒーを入れて冷たくしたのはわたし

母の日の母抜きもある(こともある)生まれなくてはならなかったの

詩の短さゆえに覚えていられるという面もあり」水茄子を買う

いわし四尾パックのなかで死んでいるあたまを互い違いに向けて

バッグには入りきらない牛乳を持ち信号を待つひととなる

なべて死は無惨で生は無様ならローズマリーにまみれたいわし

卵液を注ぐ瞬間を見極めるためにわずかな卵液熱す

入院の手引を捨てることもでき、できなかった日からここにある

お祝いを。ケーキのチョコのプレートはちいさくて遺言は書けない

発狂は寂しい身体言語(ボディランゲージ)ニーチェの馬を視聴できない

/西村曜「未来」二〇二六年八月号

@nsmrakira
西村曜(にしむら・あきら)歌人 未来短歌会所属 第一歌集『コンビニに生まれかわってしまっても』(書肆侃侃房)、共著に 働く三十六歌仙『うたわない女はいない』(中央公論新社)/水たまりとシトロン/短歌同人 水面/絶島 Bluesky:bsky.app/profile/nsmrakira.bsky.social X:@nsmrakira