瀕死の苦しみにある資本主義にできるのは、自ら触れるものすべてを支配し、ひずませ、ばかげたものにすることだけ。作家も資本主義の枠組みの中で書きつづけるしかありません。現時点では他の選択肢はありませんから。
でも、作家が自らの精神を資本主義に売りわたさず、自由な人間として考えれば、きっと方法を見つけられるはず。書きつづけ、作品を読者に届け、もしかしたら書くことで生計を立てる方法をね。
だから、若い作家たちに贈る言葉があるとすれば、『あきらめないでほしい。書きつづけるかどうかは自分が決めることだということを忘れないでほしい』ということです。
アーシュラ・K・ル=グウィン
漫画家になって、初めての単行本を出す→あまり売れなくて作品自体打ち切り…となってから、結構長い間「書き続けるためには売れる作家にならなきゃ」という考えが心の中にずっと居て、自分を必要以上に追い詰めたり苦しめていたけど、ル=グウィン先生のこの言葉を読んでから「書き続けるために必要なこと」=「売れる」じゃないんだな。と、かなり気持ちが楽になった。
趣味で漫画を書いていたときは、そんなことは当然でわかっていたはずなのに、仕事にしたことで「利益を出さなければクライアントから切られる」という思いが邪魔をして見失っていた。書き続けるのに一番必要なものは心一つということを。
もし書く仕事がなくなっても、環境が変わっても、しぶとくあきらめずに死ぬまで自分の書きたいものを書き続ける作家でいたい。
---
元記事