すごいひと

nukaruminosoko
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家族や身の回りのひとのはなし。

兄が早稲田大学卒、中?高?教員免許持ってて、TOEIC950、英検1級、漢検1級、とにかくなんかすごい人だった。加えて小学生からクラリネットを習っており他にもピアノ・ドラム、ベースなど多彩であった。中高生の頃は音ゲーにハマり、ドラマニのランカーでもあった。今でも社会人生活をしながら、地域の楽団に所属し週末は音楽活動をしているそう。かと言って超文化部というわけではなく、スポーツも好きで試合観戦に行ったりフルマラソンを走ってみたり、勉学以外でもなんかすごいひとだった。ユーモアがあり友達が多かった印象もあるし、絵心もあった。幼少期に「オリジナルカードゲーム」を一緒に作った時にヨッシーの描き方を真似して、けんかをした記憶がある。高学歴に加えとにかくなんか「ハイスペック」な兄だ。非常に要領がよく、才能の全てを持っていかれている気がしていた。2つしか違わないのにいつもなんかすごい兄を見て尊敬をし、いつしか劣等感になり、大人になった。

私はと言うと、兄同様中学受験をすることになるもののお世辞にも、要領が良く頭が良いとは言えなかった。塾の宿題も提出日前夜に、泣きながら、眠い目を擦りながら、ため息を聞きながらなんとか…という様子だった。ただ、授業で教わったことへの飲み込みはよく、頭の回転もそれなりに早く、応用を効かせるのが得意だったために成績としては上の下~中あたりだった。興味が無いことへの暗記がひたすらに苦手で、教科書をペラペラとめくるだけの試験勉強に「そんなんで覚えられるの?ちゃんとやりなさい」と母に叱られた覚えがある。とはいえ第一志望校に特待生で合格し入学。特別高い偏差値の学校では無いが人生で最も誇れる功績だと思う。分かりやすく点数や順位があり「結果が出る」勉強は嫌いではなかった。ただ志望校合格という目標があったから頑張れただけで点数や順位を目標に頑張ることはなかった。勉強のピークはここで終わり。念願の第一志望校特待生入学(強調!笑)するも平穏に暮らせたのは1年ちょっと。2年生の1学期になんちゃら未遂、その後保健室登校したけど中学2,3年の記憶はあんまりない。友人や先輩にも恵まれていたけど、どうやって過ごしてたっけ。まぁこの辺はまたいつか。人に言えない話ではないけど、人にわざわざ話すことではないからどこにも行き場がなくなってる。あの時間の私が今でも蹲ってるのを知ってる。申し訳ないと思ってる。

(案の定組み込まれる自分語りはさておき(^ω^))

従姉妹が2人いる。他所の家庭がどれくらい親戚と交流してるか分からないけど、多分仲が良い方だったと思う。年末年始とお盆は祖母の家に集まってお泊まりをすることが多かった。上の子は落ち着いた子だったけど、下の子はなかなかに破天荒な子だった。一匹狼というか、マイペースな子だった。そんなに内向的ではないと思う、ただ自分と同じように少し人見知りかな、さらに言えば人間や世界が嫌いなんじゃないかなとうっすら勝手な親近感を抱いていた。この子は工業高校で重機の免許をいくつか取り、卒業後は調理師免許を取った。そしてさらに卒業後、結婚、出産、まだ2,3歳の子の面倒を見ながら独学で宅建に合格したらしい。これがつい最近のこと。きっと上の子も色んな経験を積んでいて、私が知らないだけで私から見たら「すごいひと」になっているのだと思う。

人が変わるのは当たり前だと思う。歳をとるにつれて各々の生活も変わり、年に1度会うか会わないかの関係で、かたや子供も産まれて親になったのだからその変化が急激な気がするのも仕方ないと思う。それを踏まえた上で、最近は従姉妹に会うのがしんどいと感じる。昔はもっと笑って「わー!久しぶり!」と手を振って挨拶してくれたな、話ができたな、と。私だけが子供のままな気がして、取り残された気がして、恥ずかしく気まずく、さみしい気持ちになる。他人と比較するものではないと分かっているのに、私には誇れるような仕事も資格もないのに従姉妹たちは子を育てながら働き資格を取り家を買い旅行もして次々と何かを成している。見下されてるとは全く思っていないが、昔より素っ気ないと感じる態度に(私はこの人たちと生きる世界がちがうんだ…)と謎の凹みがあったりする。悲しくなってしまうので、今年の年越しの集まりには多分行かない。親族とは仲良くしていたい。従姉妹が結婚して子が生まれて、家族が増えるって素敵だなあと思わせてもらえた。人の数だけ幸せの形があるので、上手く関わっていけたらいいなぁと思う。

自分と比較するとみんな「すごいひと」になってしまうのかもしれない。失礼ながらも勝手に同じにおいがする、と感じたひとがちらほらいるけど本当に同族だ!と安心したひとは今まで1人もいない。ちょっと仲良くなると知れる顔、明確に好きなものがあって、一生懸命になれて、それはもう眩しかった。私はなんでも中途半端だから、それだけでみんな「すごいひと」だ。きっと私も誰かから見たら何かしら「すごいひと」なんだろうなあ、そうであってほしいなあ、と思いつつ誰かが褒めてくれても素直に受け止められないんだろうなあという情けなさよ。私はいつも目に見える結果でしか自分のことを評価できない。どんな「すごいひと」になりたいんだろうね。

オチはないです。

@nukaruminosoko
ここは泥濘の底。