ゼルダ無双封印戦記|感想|ネタバレ

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公開:2026/1/7

ゲーム内でやることは追加アップデート分を除いて全てやりきったと思います。プレイ時間は難易度ノーマルで45時間程度。

任天堂系の無双シリーズは全て購入済みですが、初代ゼルダ無双は言わずもがな、 厄災の黙示録(以下厄黙)もコンプリートまでの要素が多かった(初代ゼルダ無双に関しては多すぎたのでやりきってはいない)ことを思うと任天堂とのコラボ無双作品で一番遊びやすかったと思いますし、画面以上の進歩を感じることができたと思います。

※以下はシナリオや他ゼルダ作品についても綴るためネタバレ注意。

◆システム面

まずゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム(以下TotK)の要素を上手く無双アクションに落とし込んでいたことが何より良かったと私は思いました。

戦う場所の地形や敵の属性から、どのゾナウギアを選べば効果的なのかを試行錯誤することが楽しかったですし、シンクストライクも含めて、TotKの「組み合わせる面白さ」をよく表現していたと思います。

スクラビルドまで実装していたことには驚きましたが、魔物素材はより威力の高いものが手に入ると自動的に置き換わってくれるなど、消費アイテムというリスクリターンとユーザーフレンドリーさを両立していたように思いました。

ちなみにトーレルーフは無双アクションには向かないだろうなぁと思っていましたが、ここぞという場面で演出があったのは嬉しかったです。

必殺技は弱体化したと言えば実際そうだと思いましたが、威力重視のシンクストライクと雑魚掃討用の必殺技と考えると棲み分けは出来ているのかな、と。一方でシンクストライクに一本化してもよかったのでは?とも私は考えましたが、必殺技は TotKにおける特徴的なシーンの再現になっていることも考えると、すきなキャラクターを自由に動かし一騎当千の活躍をさせるゲームの矜持として守るべきものでもあったと思うので、個人的に強い不満はないです。

ただどうしても戦闘の絵面が厄黙からあまり変わり映えしていないと私は感じたため、その部分は惜しかったようにも思いました。題材がBotWとTotKの時点で仕方のないことですし、戦うロケーションは厄黙と被らないようにしていたあたりに工夫は感じ取れました。

無双のアクションに何を求めるかで好き嫌いは分かれそうなところですが、個人的には総じてTotKの要素を無双アクションに昇華していた点を私は評価していますし 、独自の魅力を表現できていたと思います。

余談ですが、空中戦バートはどうしても新・光神話パルテナの鏡が過ってしまった私です。新光神話もこんな感じの操作感でやりたかったなぁと「月とスッポン」という余計なことまで頭を巡ってしまいます……。それはそれとして、厄黙の神獣戦と比べると神獣を操るお祭り感や特別感には至らずとも、スタイリッシュで爽快感が磨かれており良い箸休めになっていたと思いました。

◆シナリオ面

厄黙と打って変わって史実路線であり、好みが分かれるのはしょうがないところですが、TotKの余白を埋めるような、TotKで知ることが出来た部分との取捨選択が非常に上手く、尚且つオリジナルの要素を入れ込める余地があったので、個人的には十分に楽しんでいました(ちなみに私は厄黙のようなif展開を外伝作品では大いにやってほしいと思う方の者です)。

とは言っても「史実」という縛りがあるとどうしても私は窮屈さを感じます。更に言うと「史実通り」だったからといって特にゼルダ史に影響を及ぼすような新事実は特になかったことも、個人的に惜しかったと思うところです(しかし外伝作品にこれを求めるのは流石にマニアックすぎるので十分だと思います)。

シナリオ面以外でもソニアやガノンドロフをプレイアブル化出来ないことも勿体ないという気持ちがありました。特に初代ゼルダ無双の「ガノンドロフでハイラルを侵略するシナリオがある」というのは公式では出来ない外伝作品ならではの視点で私はとても面白がっていたのですが、やはり多くのゼルダファンからすれば忌避感があるのでしょうか?せっかくTotKボスの魔人化や敵対ゲルド族を描いたのですから、ガノンドロフに与してラウル達と戦うパートでも遊んでみたかったのですが、 まぁこれは個人の願望であってこれが売り上げや評価に繋がる要素になるとも思えないので、実装していないのも止む無しです。

ガノンドロフの力が圧倒的すぎて、どうしてもラウル軍が常に劣勢で、シナリオが防戦一方なことに単調さともどかしさを感じていましたが、それだけ「封印戦争」 と語られるに足るものを描きたかったのだと解釈しています。BotW・TotKにおけるリンクの並外れた戦闘力を考えると「これくらいガノンドロフが強くないと釣り合わない!」と言われれば理解できるという解釈もしています。

一方私は封印戦記が「歴史に名前の残らなかった者たちの戦い」を描いた点は非常に好感触を持って受け止めてました。キャラクターが非常に良かったので詳しく後述しますが、カラモの物語(ゼルダノーツを鑑みると設定のすり合わせがあったと思われること)と、知られざるマスターソードの戦いがあったことはとてもシナリオを盛り上げていて良かったと思いました。

「史実」の物語として、TotKで語られていたことを上手く繋ぎとめて膨らませたシナリオになっていたので私は概ね満足です。尤も前述したように、外伝作品としての「if」を求めるのか本編に連なる作品として「史実」を求めるかで好みが分かれそうなのは難しいところですね。そういう部分も含めて取捨選択はとても上手かったと私は思っています。

余談ですが個人的にすきなシーンは、アマノトリフネでガノンドロフの本拠地に乗り込むシーンです。アマノトリフネをここで活用するのか!という高揚感とこの章のアレンジBGMがとても良かったです。風の神殿はTotKにおいて高く評価されるもののひとつですが、とても大切に取り入れてくれたんだと伝わりました。

◆キャラクターについて

まず月並みですが、賢者たちは英傑から引き続き同じ声優さんが演じているにも関わらず、全く違うキャラクターとして演じられていることに脱帽しました。

恥ずかしながら私はTotK時点でキアがミファーと同じ声優さんであると全く気付いていなかったのですが、封印戦記でミファーの気高さとシドの勇猛さを足し合わせたかのような演技に気づくことができ、素晴らしいとしか言いようがなかったです。

当初私は騎士ゴーレムについて「史実に忠実と謳いながら無理矢理にリンクを出そうとするのか」と否定的な見方をしていましたが、マスターソードを核とすることでリンクでありゴーレム(ファイ)であるという唯一無二且つTotKを再現するキャラクターを出してきたため、自分の否定的な見方が一気にひっくり返りました。

騎士ゴーレムに対して禁忌のゴーレムが存在するのも、疑似的にリンクVSダークリンクを表現しているようで、ゼルダ作品にも造詣が深いコーエーテクモならではだと思います。

カラモはPV時点ではそこまで重大なキャラクターではないと思っていましたが、、狂言回しの役割だったので驚きました。声質的にも当初は物語から浮いているように思ったのですが、彼も彼でTotKにおける象徴的な要素である「旅するコログ」を戦いとシナリオに落とし込んだキャラクターだったので、使用感も相まって私はとてもすきになりました。

カラモに関してはBotW・TotKでその後が伺えること、それを裏付けるテキストがゼルダノーツに存在していたことにも驚きました。ゼルダノーツ公開時期的にもカラモのキャラクター付けは任天堂とコーエーテクモの双方で調整があったのではないか?と考えています。当たり前ですけどこの描写によって封印戦争が神話の物語ではなく、BotW・TotKにおける実際にあった歴史の1ページだったことを実感し感慨深く思いました。

プレイアブルキャラクターとして使えるハイラルの戦士たちは、カドランのヒレブーメランのように歴代ゼルダ要素を取り入れたものもあり、面白い試みだとは思うのですが、個人的にこうしたコラボ無双作品は原作キャラに惹かれて買うものだと思っているので、思い入れ不足は否めませんでした。カバンダといったTotKで印象的だったキャラクターを入れ込みにくいというのも「史実通り」の欠点かもしれません。

しかし皆、BotWやTotKにいそうでいない良いキャラクターたちばかりなんですよね。こうしたNPC止まりになりがちな隊長格のキャラクターを自由に使えるという試みはやはり面白いと私は思います。私は戦いの使い勝手がよかったのでキーニョを好んで使っていましたが、自身の出自に甘えないまっすぐなキャラクター性にも好感を抱きました。こうした使い勝手込みですきになる手触りはどちらかといえばファイアーエムブレム的だとも思います。そういう意味でも「戦争」のゲームとしてこうしたキャラクター達を取り入れた適切と言えば適切かもしれませんね。

余談ですが、ゼルダ姫が自身の秘めた能力を使えることになったきっかけなど、明 「確に語られていなかった部分が幾つか言語化されたことは有難かったです。ラナリアとのやり取りも全てTotKで実際に見たかったものが網羅されており、序盤の時点で非常に満足感がありました。実は私のBotW・TotKのゼルダ姫への見解が公式とはズレていたのですが……。今は公式見解に納得していますし、そのズレについてここで語ると長くなるので気になった方は最後の最後までご覧ください。

◆個人的総評

どこまでもちょうど良く高品質なゲームだったと思います。良くも悪くも尖ったところや意外性はないため、話題になりにくかったところは惜しかったように思います。

結果がわかっているからこそ、その余白を愛せるような物語であったようにも思います。更に言うと、私はこの封印戦記自体を「ゼルダ姫が初代ハイラル王国から帰ってきてリンクに語ってきかせた物語」なんだろうと想像しています。

だからこそ、神話時代の人々の生活の様子や、カラモや騎士ゴーレムといった歴史に名前の残らなかった者たちの活躍が伝えられ、こうして我々の元に届いたのだろうな、と。

厄然は厄黙でBotWをクリアしていなければ存在しなかった物語でしたが、封印戰記も封印戦記でTotkをクリアしていなければ存在しなかったことになっていた物語でしたので、実は半ば惰性で購入していましたが、実際に遊んで良かったと思っています。またTotKも遊び直したいですね(まだコログコンプしていないので)。

◆余談

ふせったーにでも書こうとずっと思っていましたが、全く書く機会が巡ってこなかったBotW・TotKのゼルダ姫に関する見解をここに記しておきます。

私の中でBot時点のゼルダ姫の解釈は「無才の姫が起こした奇跡」だったのですが公式的には最強の時と光の力を持った姫という解釈でしたね。

私個人としてはBotWにおけるゼルダ姫は、歴代のゼルダ姫と異なって力が発現せず土壇場で女神が力を貸したことで一時的に封印の力を得て、厄災封印後に力を使い果たしてただの少女に戻ったと解釈しており、女神の血を引く姫巫女ではなく主家に生まれた少女だと受け取っていました。BotW・TotKゼルダ姫は素敵な才能をたくさん持っているので無才の姫なんかじゃありませんが、それはそれとして「封印の力を持つ者」としては「才能がなかった」のは本当だったのだろうな、と想像していました。

しかし実際には師事すべき人を早期に失ったために力の発現方法がわからなかっただけで、歴代でも最強クラスの力を秘めた存在でした。厄火封印(BotW)時点でこの見解を出していた人も見かけたことはありますが、私は封印戦記で具体的に言語化されてようやく納得したように思います。

ところでラウル・ソニアに子がいたという話は封印戦記でも全然出てきませんが、 ミネルと顔を合わせた際にゼルダは「お二人(ラウル・ソニア)の遠い子孫」だと自己紹介していて、その時点でラウルもミネルも特段不審がるような反応はしていないため、暗黙の了解で「二人の子はいる」と私は解釈しました。もし二人の間に後継者(子)となるような人物がいないのであれば、ラウルは「異なこと」だと答えそうですからね。

マスターワークスでも二人には子がいるという考古学的見解が示されており、王を失っても王家が滅びず存続していたことや王族が二人の能力を継いでいることを考えると、描写していないだけだと解釈しています。