映画と本と服の日

nullhiko
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書きたい論文のテーマがあるのだけれど最近は映画と本でほぼ休みが消えてゆく

今日の日記は長くなるしじゃあ論文を書けよとなるけれど、そちらはゆっくりのんびりやろうと思う

今日は「哀れなるものたち」を観た

シュールなフィクション画が見せる解放と成長は鮮烈で、表情と動きをどんどん変える主役エマ・ストーンの演技相まって素晴らしかった

この空の色は、この砂は、動物は、と考えていると面白い

愛(性愛が関係ないものも含めて)と時にその衝動をもってして成長してゆく主人公は見応えがあった

色や音の使い方もそうだけれど、レンズの特性がかなり効果的に使われていて引き寄せられた

ヘリオスのような写りからピンホールのような効果まで遊び心もある

レーティングが18+なので観客の層も良かったかな

その後「瞳をとじて」を観るのもいいなと思ったけれど、やっぱり本を買って帰ろうという気分になっていつもの本屋に行った

かなり大きな書店なので望む本はほぼ手に入るのだけれども、書いたい本リストの中のある絵本だけ取り扱いが無かった

結局買った本は8冊

そして、書架にある本たちの手入れをしたいと思いついて、グラシンペーパーを探した

マフィンの包み紙や肉まんの下の紙を想像してもらったら、それがグラシンペーパー

以前の本はこれで保護されていたらしく、家にある岩波系の全集はほとんど紙に包まれている

今は自分の見る限り、昔気質の古書店の単行本や希少書くらいしかグラシンに包まれていない

書店員に聞いたところ、グラシンペーパー自体はみんな知っている反応なのだけれど、どこに売っているかまではわからないようで、結局いろいろ歩いてみることにした

まずはLOFTに行って文具と手芸、紙のコーナーを見た

切り売りのところまで見て尋ねてみたけど、扱いはなかった

次に手芸店、と思ったけど道を間違えて違う所に入った

これがたまたま紙を扱っているところで、店内の陳列には見当たらなかったもののレジ奥から在庫を引っ張ってくれた

100枚は欲しかったのだけれども、在庫は11枚

見つけただけでラッキーかも、ということで10枚購入した

お腹が空いていたので(昼を逃して気付いたらおやつどきだった)カレー屋に寄って帰路についた

その後家までの道を歩いていると、いつも服の面倒を見てくれる店のおじさんに会った

コーヒーをご馳走になったので、バレンタインですと茶化しながら帰り道に買ったマルセイのバターサンドを開けて一緒に食べた

店にいらした顔見知りの常連さんと、初めて見かけるお兄さん、店主の奥さんにもお裾分けした

しかし服も買わずにコーヒーと雑談なんて、恐縮

次は買うから許してほしい

陽が落ちてきた頃に家に帰って「汝、星のごとく」を読み切った

会社の友人があまり薦めたくないけどと前置きした上で薦めてくれた本で、長く積読となっていたけどここ数日で読んでいた

自分としては瑞々しい若めの感性の、デジタル的な文だなと感じた

ふたりが交互に描かれ、それによる対比が良い

作者のことはよく存じ上げないけれど、これを男性が書いていたなら腰を抜かす(ペンネーム的にそうではなさそう)

描かれる人物たちは複雑な事情と心情を持っていて、ある意味でいろいろな形を肯定しつつフィクション的な文脈で否定もしている

その部分、自分には一枚ベールがかかった読み方になってしまったかもしれない

「傲慢と善良」の時もそうだった

自分は幸せ者であることを自覚はしているけれど、よく自分自身の過去が一般的に辛い方にあたるとされながらほとんど辛いと思わないこと自体、想像より遥かに自分の環境が恵まれている幸せ者なのだろうと改めて思った

(自分は幼い頃に父と死別しているのだけれど、この間それを知る人からも「身近な死ってまだ経験していないんだっけ」と言われて思わず笑ってしまった; もっと翳りがあったほうがいいのか?)

本はよっぽどの理由がない限り書架に入れて売ることはないので、また時間を隔てて読もうと思う

そのころには自分も何か得ていて、感想もまた違ったものになりそう

こうして財布がすっからかん、また胃の痛い生活が始まる

@nullhiko
しがない音のデザイナー