指摘にも色々あるが、その中でも「ありがたい指摘」と「嫌な指摘」と捉える方が分かれるものとして、ちょっとした身だしなみの乱れへの指摘がある。
社会の窓が開いている。前歯に海苔が付いている。鼻毛が出ている。シャツの表裏が逆になっている。下着が若干見えている。
どのタイミングで指摘されても恥ずかしいことには変わりないが、早めに指摘されたほうが傷口が広がらないので、私は気付いた段階で指摘してほしいタイプである。
問題は他人に対して指摘する場合。ある程度関係値があって早めに指摘されたいタイプであることがわかっている人であれば指摘するのだが、それほど関係値のない人に対しては悩ましい。会話の中でさりげなく「社会の窓が開いているといったことに気付いたら指摘してほしいタイプですか」と聞いたとしても、この質問をした時点で指摘するか迷っていることを勘付かれるのだ。
指摘しようか迷っているうちに、やがて他人の前歯に付いた海苔は、自身の前歯に付いた舌ではなかなか取れない海苔へと変わる。