最近、1冊の二次創作同人誌を書き下ろしました。
5.7万字を超えるくらいの量で、執筆に半年かかりました。時間かかりすぎ。
ここでは作品にまつわるあとがきよりも、もっと個人的な、作品を作るにあたっての思いを記録しておきます。
今回は、自分がいま書きたいと思ったテーマで、思い切って書きました。
プロットはとにかく書き散らして、書きたいシーンは何か?このシーンで表現したいものは何か?を繰り返し自分に問いかける時期が、数ヶ月続きました。
リーガルパッドにひたすらに書いて、書いて、書いて。
それを破って、並び替えて、また書いて。
プロットが固まった部分から、執筆作業を進める。
ひたすらに作品作りにのめり込んだ時期でした。
ですが、執筆を進めていくうちに、特に後半部分について、しっくりこない感覚が現れました。
しっくりこない感覚が消えない状態のまま、印刷所が設定するイベント合わせの締め切りが迫ります。
昨年末の私は、その感覚を飲み込んで入稿するという判断をしました。
イベントで、この作品を出すべきかどうか。
入稿後にも関わらず、数年来の知人に半泣きで相談するくらいには迷いました。
知人のひとりからは読んでもらい感想を頂きましたが、やはり部分部分に思うところがあったようでした。
しかし最後にはその知人を含めた複数人から背中を強く叩かれる形で、一旦は頒布まで漕ぎ着けました。
頒布には至ったものの、私の中にはどこかしらに不完全燃焼な感覚が残っていました。
そこで、新刊として印刷した本の残部をすべて処分して、改めて追加のページを書いて作り直す判断をします。
新刊を処分する瞬間、悔しさで息が苦しくなりました。
何より、イベント当日に来てくださった方々に申し訳ないことをしたという思いで、潰れそうになりました。
イベントでお声がけいただいたり、作品の感想をいただいたりして、本当に嬉しかったのです。
でも、だからこそ。
今でも、その申し訳なさは心に残っています。
※C103で頒布した初版をお持ちの方は、私が今後参加するイベントにて初版をお持ちいただく等していただければ、改訂版と無償でお取り替えします
イベントで新刊を落とすのと、こういった顛末を迎えるのと、どちらがマシなのか。
私には今でも、わからないままです。
改訂版は、3月末に開催されるオンリーイベント合わせで仕上げる目標を設定しました。
ストーリーの大きな流れは変えていません。
ですが、唐突であったり展開が早いと感じた部分に描写を追加しています。
シーンと登場人物も増やしました。
結果、改訂版が5.7万字越えでした。
初版が3.4万字でしたので、2.3万字以上増えました。
こうなると別物と言われたら、そうなのかもしれないですが。
私の中では、どちらも同じ作品です。
作品を出したこと自体は、良かったと思います。
いや、厳密な表現をするならば、作品を作ったことは良かった、です。
作ることはよいとして、出すべきものとしては、どうだったのだろうか、という不安が、結局のところ今もずっとあります。
作品に込めた思いが独り善がりでアクも強すぎたのかもしれない。
技量不足で娯楽作品として昇華できなかったのかもしれない。
結果として人の心に残らないお話だったのかもしれない。
そんな感覚でいます。
今はだいぶ、からっぽです。
この作品以前にも何作も書いているというのに、今回は過去と比べ物にならないほどの大きな空洞が、心の中にできているようです。
まさかこのような状態になるとは。
自分でも驚いています。
彼女について、今の私の力で書ける物語は書き切りました。
これからしばらくは、眠らない街で夜空を見上げて、星を探す日々を送ろうと思います。
そしてここは、からっぽの私が、書く行為を忘れないための場所として、当面は使おうと思っています。