『草の根のファシズム』をようやく本格的に読み始めた。
私はこれよりずいぶん前に中国戦線の兵士の日記(『中国戦線、ある日本人兵士の日記』新日本出版社)を読了しているのですが、この本で取り上げられている日中戦争従軍兵士の「戦争というのはこの世の地獄」「人間はなぜ戦争をするのか」「戦争は無慈悲で残酷」の日記手紙類がすべて〈戦場で〉記されているというのが、こう、なんといえばいいんですかね……。
特に日中戦争においての日本軍の殺戮については言わずと知れたところがあるわけだけど、戦争の残酷さを嘆きながら懊悩しながらそれでも毎日人を殺していた、敵だから、でもこういう言葉が出てくるほどの理性があったというのが
マジで戦争って一旦そっちに傾いてしまうといくらもがいてもダメで、流れにとられたらこうして嘆きながらも殺していくしかない現実が待っている──というのを痛感しました。
これは漫画家・ちばてつやさんが言っていたことを少し思い出した。
▷ちばてつやさん「生き残って申し訳ない」戦争語り続け、募る不安「今は戦争の渦の淵。始まれば地獄」 | 京都新聞デジタル
我々はまだ戦争の渦に直接巻き込まれていないから、手を血に汚さず、高揚も落胆もなく、ただ過去の戦争を想起しながら現在の〈戦場〉をみては嘆いているけれど……。
同じ“嘆いているけれど”、いちど戦禍に陥ればそれは自らの手を汚しながら述べるものになるのだなという無力感が襲ってきますね。
ということで、引き続き読んでいきたいです。
いやぁこれホントに、今の危うい思想を抱える日本社会において、『帝国日本のプロパガンダ』と併せて読むべき一冊だよぉ〜!