姉が脳幹出血で倒れた。
姉は50代。酒は飲む、食事は塩分糖分脂質たっぷり、膝を悪くしているからと開き直って運動は一切しない、ひどい高血圧なのに通院しない……とまあ、順当に発症したなあという感じではある。
親戚一同もどちらかといえば「そら見たことか」という反応をしている人が多い。心配していないわけではないのだが、日頃の不摂生が祟ったということは誰もが理解する程度には不摂生な人だった。
それはそれとして身内ではあるので傷つけば悲しいし、倒れたとなれば気も動転する。死ぬのではないかと思って随分肝を冷やした。
幸いにして手術はなんとかなった。一時期は容態がかなり不安定だったが、保険適用外の強い薬を投与したところ改善が見られ、意識が回復した。今は呼びかけに反応できる程度まで回復している。
姉という人物について。
年齢が離れていることからも察せられると思うが、実の姉ではない。戸籍上の姉である。色々あったのだ。この話はまたいずれ。
私の小説家としての先輩にあたる人物だ。何を書いていたかまでは知らないが、交流を持っていたコミュニティから察するに女性向けの恋愛ものだったことは間違いない。
商業作家との交流も持っており、私が読んでいた作品の作者と仲が良かったため折に触れてメッセージをいただいたりもした。不思議な縁があるものだな、と当時は思っていた。
まあそんな姉と親しくして育ったので、姉経由でWeb小説の世界を知ることにもなった。当時の私は公募専門だったが、それがきっかけとなってWeb小説を投稿するようになったりもした。
そういうわけだから、姉がいなかったら私は今のようなスタイルで小説を書くことはなかったのだと思う。
別段それに恩義を感じているなどではないのだが、ある意味で私の活動の方向性を決定づけた人物だと言えるだろう。身内の影響で創作活動の方針が決まるとは。驚き。
また、それ以外のプライベートでも影響を受けた。
姉は田舎らしい家父長制の一族で唯一と言っていいほど独立心に溢れた女性で、特に己の父のことをひどく嫌っていた。束縛を逃れて漫画を読み、ゲームをやり、街で遊んでいた。
そういう人物だったから、拾われた身である私が家に尽くそうとするのを止めてくれたし、親に反抗していいのだと教えてくれたし、私に初めて漫画を読ませてくれたりもした。
まあ教育としては悪影響な人だったのだろうし、良心的だったかと言えばそんなこともないような気がするが、親戚の中ではトップクラスにお世話になったわけだ。
そんな人が倒れたというわけだ。流石にショックは受ける。元来私はショックを受けやすい気質だから、ますますショックを受ける。
本音としては「回復してくれ~~~~~~」と「だから言ったじゃーん!!!」で半々と言ったところ。後遺症がどれくらい残るか、それだけが不安だ。
明日にでもお見舞いに行ってくる予定。意識は回復しているらしいから、声をかけて来ようと思う。