私は学生の頃、時間割を無くしがちで、授業の準備ができない学生だった。今思うと注意欠陥の特性が顕著に出ていたようにも思う。
特に体育の授業があることを忘れて体操服を忘れる。そして毎回違うクラスの子に借りる。というのを繰り返していた。あの時の申し訳なさとか、自分の不甲斐なさ。
そして
毎週土曜日の午後3時半。ピアノ教室の時間。これが苦痛で仕方なかった。練習をサボったまま当日が来てしまう。先生には怒られる。譜面は読めない。特にヘ音記号がダメ。左手は石のように動かない。
この嫌な思い出がこの歳になっても頻繁に夢で蘇る。良い夢を見させてくれよ…と嘆くものの、繰り返し焼きついた高ストレス状態のシーンを脳みそはそう簡単に忘れてはくれないらしい。寝ている間に記憶から消したいのにエラーが生じて夢で何度も放映される。勘弁してくれ。
今日も夢の中でも胸が圧迫されるような感じになって、起きてもズーンと胃もたれしていた。
もう大人になって体操服を忘れることもないし、ピアノのレッスンもない。単位を落とすことも、留年に怯えることもない。どれだけあの頃の私は怯えていたのかわかって少し不憫な気持ちになる。
雪混じりの雨が降ってきた。