噂の2月号を頼む (ネタバレなし)

洗われるたこ
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公開:2025/1/25

やかましくしてしまって悪いが、1/22 (水) 発売の例の月刊小説誌2月号に、おれの書いた短篇の読み切りミステリーが掲載された。

既にびっくりするくらい多くの人が手に取ってくれているのを、おれは物陰からこっそりと、その一つひとつにガッツポーズを取りながら見ている。「面白かった」「一気読みした」「もう1冊買った (?)」という声に、本当に頑張って書いてよかったな、と思う。皆には大きな感謝を伝えたい。

一方で、当の月刊誌が本屋に置かれていなかったという投稿も散見。文芸ジャンルは棚が縮小していって苦しい状況…と気分が落ち込みそうになるが、取寄せやAmazonやRakutenブックスといった通販サイトで購入することもできるから、どうか諦めずに入手を試みてほしい。

だけどまずは、探してくれてありがとう。おれたちで書店のブースを盛り上げていこうぜ。

さて、核心に触れないようにだけ少しだけ中身を話すと、今回は逸れ者の女天狗と、彼女に攫われて育った傘職人の見習い、そして邪神である孔雀の生まれ変わりの美しい少年を巡る 博打と偏愛のミステリーとなっている。

酒を飲んでは賽子を振るばかりの不埒な天狗の大女。彼女を慕う人間の心は、神隠しと謎解きの狭間で 次第にいけない方向へと転がって…という、どう考えても短編に収まらない非日常の奇譚を、カリスマ編集者の力を借りてぐっと凝縮した玉虫色に輝くエピソードだ。

そして見てもらいたいのが挿画の女天狗! イラストレーターの出口えりさんが描いてくださっている。

おれはほとんど皆と同じタイミングに初めて完成物を見たのだけれど、想像を遥かに上回る美麗さと迫力に椅子から転げ落ちた。ずばっと描かれた白い装束に、風に靡く長い髪と孔雀の羽。なんとも大胆で劇的だ。

おれは編み物や裁縫ができる人と絵を描く人のことを (自分が一欠片もできないので) 心から尊敬しているが、それにしても凄えよ。何と比べているわけでもないが、「1番だ」とおれは思った。「1等賞の絵じゃねえか」と。額縁に入れて飾りたい。皆も実際の印刷物をその目で確かめてみてくれ。

(追記)

なんと、この記事を偶然ご覧になった出口さんが 編集部経由で原画を送ってくださった。

あまりのことに おれは転げ落ちた椅子に再び座り直し、不思議な青緑色で描かれた美しい風の絵を、ゼロ距離でずっと眺めている。まるで薄暗いおれの部屋に窓が開いたようだ。

布の質感、塗料の厚み、掠れ。全部に魂が宿っている。こんなにも心の震える贈り物は貰ったことがない。

おれは、永久に この1枚を大切にする。

それはそうとして、今回の短編に限らず おれの書く話は、全然難しくない。

教養や事前情報は一切不要だ。和歌や花言葉や電算の知識も要らない。知っておくべきことは、全て作中に記し説明してある。

だから気負わずに軽々しく手を出してほしいし、好きなように考察したり感想を言ったりしてもらいたいと思っている。

おとぎ話を読む子供に躊躇や準備がないように、ページを開いたその先は果てしなく自由であり、あなたがその世界で唯一の王様だ。正解も不正解も読み違いもない。「う~ん、それは解釈が浅いですね」みたいなことを言ってくる愚かな品評家気取りのフェイク野郎のことは、おれがこっちで場外へ蹴飛ばしておく。

そういうわけで、件の2月号は絶賛発売中だ。月刊誌という性質上、バックナンバーは前月分までしか手に入らない。探すならいま、そしておれの古参を名乗るならいま、というところ。

この駆け出しの空想屋と伴走し、無謀な夢の行く末を見届けてくれ!

@octopus
ミステリー小説を書くシステムエンジニアの空想 bsky.app/profile/octopus3.bsky.social