広く大勢にアプローチしたければnoteやはてなブログを使うべきなのだろうが、おれは「万バズ」だとか「インプレッション稼ぎ」だとかを下品なものとして憎んでいるし、いいねやブックマークの数に振り回されたくなくて、結局しずかなインターネットに拠点を構えた。
けれど、ここから読者を増やしていくにはどうすればいいのか。
というより、おれは実際のところ読者の多寡を気にしているのか?
CANDY MAN という人がいる。
解散してしまった素晴らしいロックバンド INNOSENT in FORMAL のギタリストだ。
彼は先日、不入りの危機にあった岡崎体育のライブチケットについて、自身のnoteにこう書いていた。
チケットが売れないという現状を露わにすることは、正直恥ずかしいと思ってしまっていた。売れていないで、誰もいないフロアでライブをする方が何倍も恥ずかしいのに
「何としてでも埋める」という必死さを「恥ずかしいもの」として捉えてしまっているのが問題だ。それが何より恥ずかしい。
この必死さが俺等には足りない。「お待ちしております〜」の引用リツイートで来るはずがない
これを読み、おれは自分の佇まいについて考えた。
おれは自分の作品を一人でも多くの人の手に取ってもらいたい思っている。
ならば「暇ができたら読んでくれないだろうか」「面倒だったら感想は要らないから」などと恐縮している場合ではないのだ。
小説、特に長編ミステリーは読むのに時間が掛かるし、期待外れだったときの「損をした」という感情は大きい。
誰にもそう思わせないよう尽くしてはいるが、力が及ばないこともあるだろう。
だけど、控えめなアピールでは届かない。
もっと必死になるべきだと、わかっている。
壁打ちだろうが、疎まれようが、馬鹿にされようが「なんとしてでも読んでほしい」「たった一言でも感想をくれ」と言い続け、ひたすら新作を書いて文学賞に喰らいついていかなくてはならない。
おれもかつてはバンドマンだった。
オーディションに合格し、上京し、俳優の真似事をさせられ、社長との大喧嘩の末、事務所を退所した。
その話は、またいずれ。
偉大なる INNOSENT in FORMAL はアニメ『池袋ウエストゲートパーク』の主題歌も担当していた。
CANDY MAN は間違いなく『No.1』だ。いつか舞台に戻ってきてくれ。