「自分はフレンドリーではあるけれどあまり社交的ではない人間だと思います」(アリス・マンロー)。
フレンドリーであることと、社交的であることは、ひっついて離れない特性のように勘違いしがちだけれど、案外そうではなかったりする。わたしもまた、傍目には、なかなかフレンドリーに見えるだろうと自負しているものの、その実、そんなに社交が上手な方ではない。経験値を重ねれば、そつのないやりとりに慣れてくるかと思っていたけれど、どうもいっこうに上達しない。だから、必要に迫られて、大勢の人々と長時間、一緒にいなければならないとなると、常に緊張しっぱなしになる。もっと、ゆったり、おっとり、構えられるのなら、それに越したことはないのだけれど。ともあれ、いつからかわたしは、誰といても、どこにいても、なるべく気力十分な状態で、楽しく、愉快に過ごしたいので、あ、わたし、もう少しで、フレンドリーを保てなくなりそうだ、と予感したら、無理に粘らず、これでおしまい、とさっさとその場を離れる。そうするのが、わたし自身にとっても、まわりにとっても、一番親切な選択なのだと思うようになった。
それにしても、アリス・マンローの自伝的短篇小説『林檎の木の下で』がとても好きだ。まさにこれは、「いまわたしに届けられる、遠い過去からのたより」である。アリス・マンローの本はいつも、小説を読む喜びに浸らせてくれる。