かわいいとかお洒落とか、そういう概念ってなんなんだろう。
犬はかわいい。猫とか、うさぎとか、赤ちゃんとか。ライオンとかトラとかもかわいいとおもうけれど、かっこいいと表現する気持ちもわかる。オニダルマオコゼをかわいいと表現したとき、結構なガチトーンで「え?」と引かれたあとに「こういうの好きなひといるよね」と頷かれた。「こういうの」の括りについてもわかる。そういう、千差万別ではあるけどある程度人類の共通認識みたいな概念。
唐突だが、デザイナーと呼ばれる仕事をしている。
「かわいい、というユーラシア大陸の中から、ひとつの国を探し出す感じ。ロシアや中国ならわかりやすいけど、バチカンとかモナコとか小さい国だと探し出すのが大変だよね」
打ち合わせ中にクライアントからよくいわれる「かわいい感じ」「おしゃれなのがいい」「エモくしたい」などの漠然とした概念をもうすこしうまく汲み取れるようになりたいという話をしたときに、以前いた会社の先輩に言われた、わかるようでわからないようでわかるたとえ話。とりあえず大きな括りから少しずつ目的地を狭めていく作業は先輩にとっても大変なようだった。ユーラシア大陸だと思ったら実はアフリカ大陸だったんだよね〜みたいなこともなくはないし。
最近の言語に変換すると「白って200色あんねん」だ。
かわいいはまだいいとしても、お洒落とかエモとか、本当にわからない。自分が生み出したものが「お洒落である」かどうかがとくに、本当にわからない。銀河系から名前も知らない星を探すような気持ちだ。
そもそもなんで私はデザイナーなどという職業についたのだろう。服のセンスとか全然ないし、あんまり流行に興味ないし、部屋も汚いし、撮る写真は壊滅的に下手なわけではないがイマイチ何を見せたいのかわからず、インスタにもツイッターにも映えないし。
話が逸れてしまった。
こういう感じにしたいんです、って見本を持ってきてくれる人はとてもありがたい。ひとつだけだとどのあたりを「これ」と呼ぶのか掴み辛い場合があるから、いくつかあると余計にありがたい。めちゃくちゃバラバラに見えても、何かしらの共通項が見えてくるので。(※たまにマジでバラバラな場合もある)
ヒアリングを重ねてようやく掴んだ情報から「猫」を目指して組み上げたデザインを見せたら全然ダメで、修正を重ねて生み出されたものが「オニダルマオコゼ」だったりすることもある。かわいいって本当になんなんだ。
何が言いたいかというと、かわいいとかお洒落とか、そういう概念をどうにか簡単にバチっとうまく汲みとる方法、ありませんかね?そんなものがあれば商売あがったりなのかもしれませんが。AIの成長、怖いですね…。
最後に。
かわいいの概念を調べていた時に「かわいい」の原因系と結果系の分類という論文を見つけたので今度読んでみようと思うというメモ。