小学生の頃、習い事でヨットクラブに入っていた
自分はあまり覚えていないけど、自分で「これやりたい」と言って入ったというようなことを母が言っていた気がする
(夏のキャンプもスキーキャンプも他の習い事もいくつも「自分でやりたいって言ってたよ」と母は言うので(それは真か…?)とも思っている)
わたしは瀬戸内海沿いの田舎港町で育った
港は入り組んだ形をしており、わたしの町は水産業やボート関連のアクティビティが盛んだったので海には馴染みの深い印象がある
小学4年生の時に、学校で新設のヨットクラブのビラが配られたことを覚えている
出来たばかりのヨットクラブに入った
50代~60代くらいの、当時の自分からしたらおじいちゃんのような方々が集まって子供たちのために立ち上げたクラブだったと思う
子供たちは何人くらいいただろうか?20人いないかな?くらいだったかな?
自分と同じ小学校の先輩お兄さんが一人と、あとは違う小学校の子たちだったと思う
クラブは冬以外のオンシーズンの月に1回か2回あって、メインはディンギー(小型の一人乗り用ヨット)、たまにカヌーだった日もあった
わたしが在籍したのは3年か4年か、それくらいだったと思うけど
一人乗り用のヨットに乗って、自分だけの力で遠い沖に出るのがとても楽しかったな
倉庫から船を出して桟橋へ運ぶ
桟橋の上で自分で帆を組立て、ロープを通してもやい結びで留める
船を海へ降ろして乗り込む
船の真ん中と後ろにそれぞれセンターボードとラダー(舵)を差し込む
完成!
ここから桟橋を離れてスイ~ッと出発していく瞬間がとても好きだった
こんなに簡単な組み立てなのに、私が組み立てたことでこの船は風を掴まえてこの速度の動力を得ているんだ!すごい! という気持ち、まだまだ覚えている
入り組んだ港を抜けて沖に出ると、本当に広い広い海
瀬戸内海なので遠くにはぽつぽつと島も見える
キラキラした水面の上を海風を受けながらシート(帆のロープ)とラダー(舵)を握る
たまに自分のすぐそばでボラが跳ねる
私たちは何度もレースをした
風の方角やほかの船の配置を読んで、走るポジションや帆の張り具合を調整する
風の強い日は帆で風をとらえすぎて船が倒れそうになる時もあった
ロープを引く手と倒れないように踏ん張る足に全身の力を込めて、強い風をたくさん掴んでいるので、物凄いスピードで海の上を爆走するヨット
倒れそうになるのは怖いけど、ギリギリで踏ん張って爆走するのもスリリングで自然の力強さを肌で感じてかなり楽しかった
鳥取の境港に遠征して公式レースに出たこともあったな
天候が荒れ気味でなかなか上手く思うように走れなくて1人で船の上で泣いていたのを思い出す
上手く走れず波の上でぽつんと立ち往生してしまった時、冷静に状況把握してどれだけ忍耐できるかにかかっている
そう教わっていたのでそんなことを船の中で何度も教えを反芻していた
自分の思う最善の態勢をとり、耐えて耐えて心の中で何度も「いける」と唱えてぐんぐん速度を取り戻して順位を挽回できた時嬉しかったな
ゆっくり抜く抜かれるが発生するから本当に忍耐だったな
またいつか乗ってみたいな ディンギー