
気になっていた映画『ロボット・ドリームズ』を観に行った
その日がとても良い日だったので日記にするか映画の感想記事にするか迷ったけど切り離すことができないのでどちらも書いていく
一週間ほど前に流し見していたテレビの情報番組で今話題の映画として『ロボット・ドリームズ』が紹介されていた
絵の雰囲気や色彩、セリフなし長編無声アニメーションという部分にめちゃくちゃ惹かれて平日レイトショーで観たい!とすぐ思った
情報番組でも「ミニシアターですごく盛り上がっている!」と紹介されていたのだが、上映劇場を調べたら確かにテアトルシネマグループのような滅多に行かないところでしかやっていなくて、より一層ウキウキした
すぐに友人に連絡して、約束した日までの一週間「週の真ん中 平日にフルで働いたあと大好きな友人とご飯食べてレイトショー観に行ける♪」と超うきうきで過ごした
当日仕事を終えてすぐに会社を飛び出した
仕事終わりに神戸まで行く機会がこれまでなくて新鮮で、それさえも楽しかった すぐ行けたし全然平日に神戸方面の友人たちと遊んで帰れる距離だな~と思った 学校の放課後に繰り出すように、平日三ノ宮でもっと日常的に遊びたいよ
待ち合わせの改札口に着き、こちらをまだ発見できていない動きをしている友人をすぐ見つけた 人混みや柱に身をひそめ、迂回して友人を後ろからワッと掴んで驚かせた
もう30になったけど私って10代の頃からずーっとこれをやってる気がする、アホやな~と自分で思った 人との待ち合わせで私の方が先に相手を見つける確率が昔からなぜか高くて、嬉しくて調子に乗っちゃうんだよなあ そろそろやめた方がいいとも思うし甘えさせてもろてる友人にはやり続けていきたい気持ちもある(甘ちゃん)
ちょっと驚かせるくらいならいいんだけど、わりと力加減ができなくて、中高生の頃、学校の廊下で友達を見つけて嬉しくなっちゃって、向かい合わせで近づくと同時に上履きを跳ばしてびっくりさせようとして、うっかり友達の顔面にぶつけちゃったことがある 調子に乗って大失敗しちゃったことはずっと覚えているのだ 年を重ねればうっかり事故じゃ済まないので本当に気を付けないといけないよ
上映時間までたっぷり余裕があったので、友人おすすめの串カツ屋に向かった
道中で『あん食のトミーズ』が目に入って「トミーズや!」と声が出た 友人は知らなかったみたいで「トミーズ?有名?」と問いかけてきた
「有名!!!!一番有名や!!!!!」 私は相当浮かれていた
自宅用にすぐ一本お買い上げして「持ってみ!」と友人の手に乗せた あん食は両手に乗る程度のサイズだが、あんこがずっしり練りこまれていて1kg近くの重さがある 友人もつられて即お買い上げしていて面白かった
友人おすすめの串カツ屋に入った
「美味しいし気軽にさくっと食べるのに良い店なんだけど、いつ行ってもお客さんが全然おらんのよ~」と事前に聞いていた通り、確かにお客さんは少なくて、店員は素っ気なさげな感じなのに、店内の内観は”家”って感じの良い雰囲気だった
めっちゃ気に入って「なんか、”おばあちゃんち”みたい」と言ったら「わかる!」と同意を得た 座った席もなんだか家のダイニングテーブルみたいだったし、壁にかかる振り子時計が偶然わたしの実家のリビングにあるものと全く同じものでじわじわきた 家やん めっちゃいいわ
ビール1杯と串カツを楽しみながら職場の話や昔の話やら色々話して笑った
「こういう時ってどうする?どう思う?」「こういうのって好き?苦手?」という他愛のない話ばかりで、付き合いが長いので感性の部分でかなり重なる部分が多いと感じるが、同じでも嬉しいし、時々全然重ならない部分が露わになった時に「ええ!?そうなの!?」と爆笑が起きる
当然のことだけど、自分の人生は自分しか歩めないし、友人たちの人生も各々友人たち本人にしか歩めない 他愛ない出来事の話を聞いているだけで、自分のことのように想像できて、人生が2倍になったような豊かな気持ちになる
「この辺りの映画館で中学生の頃に、〇〇ちゃんと××ちゃんと『ヱヴァンゲリヲン』観に行ったことめっちゃ覚えててさ~ 『破』だよ、『破』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 『破』観終わったあとに「『Q』も絶対この3人で観に行こうね~」って話したのに叶わずだよ なんなら私は『序』も観てないのに『破』を観に行って『Q』絶対3人で観に行こうねと言っていたよ」
という話を早口でしたら友人は「めっちゃ良い話」とめっちゃ笑ってくれた
『破』観たあと3人でカラオケに行って、私以外の2人が東京事変や椎名林檎を歌っていて、当時の私には”大人の音楽”すぎて「な、なんだその曲はァ!みんなもうそんな大人な曲を聴いたり歌ったりしているの!?」と衝撃だったためその日のことが脳に刻まれている
なんにも考えてなかったが、椎名林檎でびっくりしていた当時の私にはヱヴァンゲリヲンも早かったんじゃないか?とアラサーになった私は思うよ クライマックスでアスカが暴れていて「今日の日はさようなら」か「翼をください」が流れていたのを覚えているよ 近々ちゃんと『序』から観たい
ずっとそんな調子でぺちゃくちゃお喋りして映画館に行った
ビルの地下にあるこじんまりした映画館で、雰囲気がかなりよかった
予約QRコードでピッとして入館 入口にTEMPURの丸いクッションが置いてあり、わかんないけど一応手に取って入った
座席のシートが見たことないシートで、2人して小声で「なに???」と困惑しながら座った
高級車のシートのようなつるんとした革張りに、めっちゃ幅広の肘置きがついている 友人と顔を合わせると友人が「リクライニングできる…!」と小声で驚いていた 自分でもやってみようと肘置き周りを探したがボタンやレバーが見つからず困惑 「背中つけるだけで倒れる!」と友人に促され、背中をつけると、力を込めなくても簡単に倒れた
「なんだこれ~」と真新しさに沸いたのだが、上映前の予告が始まると同時に、消え入るような声で友人が「ッ…! 固定したい…ッ!」と嘆いて部屋がスンと暗くなった かなり面白くて暗闇で笑いを堪えた 簡単に倒れすぎるリクライニングが仇となって逆に居心地悪かった 笑
肘置きの幅がすんごい広くて、それが2つ並んでるもんだから、隣の友人との距離がすごい遠いのもじわじわきた
帰ってから調べたら四月にリニューアルされたばかりのシートだったみたい
100分間の映画の鑑賞を終えて、「良かったね~~」と言い合った
体重をかけるとリクライニングが傾いてしまうため、よくわかんない背中の筋肉を使って座っていたらしく背中の変なところが少し痛い 友人も体をナナメにかけてどうにか座ったと話していて笑った
劇場を出ようとしたとき友人が「え!」と声を上げた 入る時にクッションをとったところに「クッションを背に挟むとリクライニングが倒れにくい」という表示があった 二人とも普通にお尻に敷いていたし、こんな表示がある時点でリクライニング導入失敗しとるやないか!と思って笑った
映画が良かったのでパンフレットを買おうと並ぶ しばらく売り切れだったようで「ロボット・ドリームズのパンフレット再入荷していまーす!」とアナウンスがあった
見本品を見ている方がいて、横目で見て装丁が良くて「かわいい!」と声をあげると劇場スタッフの方が「ロボットが入っていた段ボールのデザインになってるんですよ」と教えてくれた 可愛すぎやで~~
ここから映画の感想
『ロボット・ドリームズ』はスペインとフランスの合作作品で無声長編アニメーション映画
無声ということでセリフがなく音楽が豊かに使われていて耳心地のよい100分のアニメーションだった
ぱっと見のオッドタクシーのように動物のキャラクターが人間のように暮らしていて(オッドタクシーは幻覚だったが)、舞台は80年代のニューヨーク
主人公は犬のキャラクターで、一人孤独な暮らしに寂しさをおぼえて、通販で友達ロボットを買うところから物語は始まる
ロボットとの暮らしはとても華やかでいろんなところに出かけたり、食べたり、踊ったり、セリフがないのに2人の友情の強さや愛が伝わる楽しく尊い映像だった
この映画のメインテーマともなる、Earth, Wind & FireのSeptemberが劇中に何度も何度も流れるのだが、それがもう〜〜堪らないのよね〜〜
とても楽しくて、お互い「大好き!ずっとこの時間が続けばいいのに!」と思い合ってる気持ちも表現されているし、その後望んでいないのに離れて暮らすことになってしまってからは切なさがどんどん増してくる
曲の出だしの「Do you remember?」という問いかけの歌詞が話が進むにつれ沁みて沁みてリフレインする
この映画の紹介を情報番組で見た時、あらすじとして「孤独に耐えかねて犬は友達ロボットを買う 2人は共に過ごし唯一無二の存在になるが、あることをきっかけに離れて暮らし、そしてそれぞれで新たなパートナーが現れる」まで話されていた
この映画の話の大筋の8割,9割がその内容となっているのだが、起承転結の起承転まで言うてもうてるやないかと思ったんだけど、その起承転結4コマをつなぐたくさんの人との出会いや出来事が楽しかったり切なかったりの連続で人生の1ページを何枚も見せてもらった気持ちになった
また、アニメーションとしての部分で、キャラクターの表情や細かい所作がすごく可愛いし、画面の見応えがすごくある
言葉のセリフのないアニメって大人になってちゃんと見たの初めてかもって思ったのだけど、よくよく思い返したら子供の頃にカートゥーンとかこういう言葉がないアニメをたくさん見ていたことを思い出した
PEANUTSのチャーリー・ブラウンは喋るけどスヌーピーやウッドストックだけの回はふにゃふにゃ叫んではいるけどセリフがない、トムとジェリーも喋らないし、ピングーもピングー語しか喋らないのにどんなやりとりをしてるかわかる ワーナーのルーニー・テューンズが大好きだったんだけど、バッグス・バニーは喋ってたっけな? 忘れちゃったけど、ルーニーも人語喋らないタイプのキャラクターがいた気もするな 海外アニメをたくさん見てきて育ったので他にもいくつも思い当たる節があった そう思うと日本アニメで、人みたいな暮らしがあるけど人語のセリフを使わない、その手のキャラクターって思い浮かばないかもね ピカチュウは動物寄りだし
動きが大きくて表情が豊かなアニメの表現が大好きだった私には、ロボット・ドリームズのビターな大人味に、表現ではどこか懐かしい気持ちにさせられるところがぶっ刺さってとても大好きになりました
映画を堪能した後はそのまままっすぐ駅に向かい、終電近い電車に乗って帰った
映画の内容の相乗効果で、一緒に見てくれた友人も含め、他の大切な人たちにも会って跳びつきたい気持ちになった
とっても良い映画で、とっても良い1日でした 人生の大切な思い出がまた増えたね