スタッフ紹介(ソフトウェア編・その1)

小河彰護
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公開:2025/1/31

相変わらずのスローペースで小説を執筆しています。もうすぐ四十歳になってしまいますが、まだまだ完成の気配無し。本当に年内の公開開始は難しいんじゃないかな……と思い始めました。

とりあえず、今日は切りの良いところまで書けたので、こちらのほうを更新しようと思います。お正月に執筆環境をパソコンだけご紹介したので、今回はどんなソフトウェアを使って作業をしているかを記します。

ATOK for mac

書くまでもないかもしれませんが、日本語変換エンジンはこれ一択です。変換の精度は気にしたことがないのですが(逆に言うと、気にすることがほとんどないくらいには優秀なのでしょう)、一番重宝しているのは変換中に複数の辞書が引ける機能です。

ATOKの辞書引き機能

同じことばでも、辞書によって意味の書きぶりが結構違っているので、今自分の書いていることばが意図通りのものなのか、じっくり吟味できるのが良いです。

ちなみに、もうmacには買い切りのATOKがないので、ATOK Passportのベーシック版に加入しています。

縦式

縦式はひと言で言うと、「きれいな縦書きができてルビや傍点が使えて青空文庫記法のテキストファイルとして保存してくれてカクヨム形式やPDFに書き出しもできるテキストエディタ」です。長いな。

僕は、一太郎で小説を書き始めたという経緯もあって、元々、紙に近い体裁でないと執筆時に気分があがらなかったので、自分にはテキストエディタよりはワードプロセッサが向いていると思っていました。

が、パソコンをmacに切り替えた当時(2007年ごろ)、紙に近い体裁で縦書き執筆ができるワープロソフトはWordかegword Universal2しか選択肢がなく、国産と言うことでegwordを選んだら、あっという間にメーカーが廃業して終売になったので、将来性への不安からとてもメインには使えなくなってしまいました(注:六年前くらいに物書堂が引き継いで、復活しています)。

その後、macでの執筆環境の模索をしていく中で、Scrivenerというワープロとアウトラインプロセッサの合いの子みたいな海外製のソフトを使い出した事をきっかけに、「執筆は横書きで青空文庫記法を使って行い、随時テキストファイルとして書き出して、青空文庫形式対応のテキストビューアで縦書きの紙に近い体裁にしてプレビューする」という方式を取るようになりました。

しかし、この手順は控えめに言っても面倒で、そのうち、「執筆自体をテキストエディタでやって、テキストファイルで原稿データを管理すればいいじゃん」という考えに変わってきました。そこで、いったんWindowsへ回帰するなどの寄り道を経て、最終的にたどり着いたのがこの縦式だったというわけです。

縦式の良いところは、テキストエディタではありますが、きれいな縦書きで、ちゃんとルビはルビ、傍点は傍点として表示してくれ、執筆の気分をあげてくれるところ(おかげでプレビューの作業回数がぐんと減りました)。もちろん、必要なときは、PDFに書き出すことで、紙に近い体裁でのプレビューもできます。

それに、必要最低限ですが見出しを使った目次ジャンプ機能を備え、また、一太郎へ取りこむ(この作業が必要な理由は別の機会に書きます)ために不可欠なカクヨム形式でのテキストファイルの書き出しにも対応するなど、僕の日々の執筆作業に必要な機能をびっくりするほど完全に網羅しているのでした。

そして極めつけに、原稿データが基本的な青空文庫記法(ルビ、傍点、見出し、字下げなど)をベースにテキストファイルで保存されるので、万一このソフトが使えない日が来ても、別のエディタに簡単にデータが流用できるという安心感です。個人の方が開発されているソフトウェアですが、「このソフトを世に出してくれてありがとう……」という感謝の気持ちでいっぱいです。

縦式の編集画面

標準では原稿用紙のようにグリッド(マス目)がついているのですが、僕はない方が気分があがるので、上図のように設定で取り除いています。

CotEditor

CotEditorのアイコン

サブのテキストエディタです。縦式が素晴らしいソフトなので、小説の執筆にはほとんど出番はないのです(どちらかというと、ウェブサイトの微調整とかに使っています)が、検索や置換周りの機能が充実しているのと、アウトライン機能があるので、執筆にも使えるように設定しています。

CotEditorの編集画面

小さくて見づらいですが、右側に、青空文庫記法の大見出しと中見出しを自動的に表示するように設定してあります。縦式だと目次のウインドウを呼び出さないと見出し間のジャンプができないので、こっちのほうが早くて便利です。

アウトラインの設定・その1
アウトラインの設定・その2

だれかの参考になればと思って、アウトラインの設定画面を貼っておきます。ここにたどり着くために、正規表現をかなり勉強したのですが、もう全部忘れてしまいました……。

Dropbox

言わずと知れたオンラインストレージです。執筆に関係なく、かなり昔(はじめてのmacを使っているときで、14年くらい前)から、昔の小説とかホームページとかも含め、Windows時代から今に至るまでのプライベートなデータをバックアップすることを主目的に利用しています。音楽と写真以外のデータは、すべてDropboxのフォルダ内に置いていて、パソコンを乗り換えたときもスムーズにデータの引き継ぎができるようにしています。

小説を書くにあたって役立っているのは、更新されたファイルを自動で同期してくれる機能です。どのオンラインストレージを使っていても備わっている機能だと思いますが、たまたま僕の場合はDropboxだったわけですね。iMacで執筆した小説の続きをMacBook Airで書く、ということがストレスなくできています。あまりインターバルが短いと、手動で同期してやらないといけませんが……。


ほかにもお世話になっているソフトはあります(一太郎とか)が、今月はこの辺で。書く気になったらその2を書きたいと思います。

@ogosyogo
北海道生まれ北海道育ち、北海道在住のウェブ小説家です。 【ウェブサイト】tamagome.jp 【小説】kakuyomu.jp/users/ogosyogo 【つぶやき】@ogosyogo